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【私の家族】ベテラン俳優・キムラ緑子を癒やす元保護猫2匹 SNSは愛らしい姿でいっぱい

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・西村 綾乃

キムラ緑子さん【写真:Hint-Pot編集部】
キムラ緑子さん【写真:Hint-Pot編集部】

 舞台仕込みの高い演技力でテレビや映画など多方面で活躍するキムラ緑子さん。昔から猫が大好きで、現在は男の子の「なある」くん(キジトラ・2歳)、女の子の「うんに」ちゃん(三毛・2歳)という元保護猫2匹と暮らしています。昨年始めたインスタグラムでは、仕事を終えた後に“3匹”で旅に出た様子を投稿するなど、「猫は癒やしの存在」と目を細めるキムラさん。新橋演舞場(東京都中央区)で上演の舞台「《喜劇名作劇場》恋ぶみ屋一葉『有頂天作家』」では、俳優の渡辺えりさんとダブル主演でドタバタ劇を演じています。そんなキムラさんに、舞台への思いや猫との生活について話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

「渡辺えりさんと舞台に立つことができる時間を大切にしたい」

 兵庫県洲本市で生まれたキムラさんは高校まで地元の兵庫県で生活。歌手に憧れた時期もありましたが、芸能界とは無縁の日々でした。高校卒業後は同志社女子大学の学芸学部に進学。この頃、現在の伴侶でもあるマキノノゾミさんの舞台を観て、演劇の素晴らしさを知ったそうです。

 興味を持ったら、行動あるのみ。「すぐに大学内にあった演劇サークル『第三劇場』に入部し、舞台の世界にのめり込んでいきました」と当時を振り返ります。卒業後は、マキノさんが1984年に立ち上げた劇団「M.O.P.」で中心メンバーとして活動。89年からは活動の拠点を東京に移し、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」(2013)で大ブレイクしました。

 新橋演舞場で上演される舞台『有頂天作家』は、渡辺えりさんとタッグを組み2015年にスタートした喜劇「有頂天シリーズ」の第4弾。名優・杉村春子さんに書き下ろされた『恋ぶみ屋一葉』をリメイクしたものです。渡辺さんは「小説と違い戯曲は上演されないと死んだも同然。眠っている古典を再演することで、命を吹き返したい」という熱い思いを会見で語りました。

「えりさんと共演できるのは、かけがえないこと。明るくて、たくましい頼りになる存在です。元々、2020年春に上演が予定されていましたが、新型コロナウイルスの影響で中止になっていました。2年の間、えりさんとは共演作がなく、他の人とえりさんが舞台に立つ公演を見に行く機会があった時は、少しジェラシーを感じたりして(笑)。上演までに長い時間がかかりましたが、言葉を練り直して皆様に作品をお届けすることが叶い、うれしいです。えりさんと舞台に立つことができる時間を大切にしたいです」

キムラ緑子さん(左)、渡辺えりさん【写真:Hint-Pot編集部】
キムラ緑子さん(左)、渡辺えりさん【写真:Hint-Pot編集部】

 作品は明治43年(1910年)の東京を舞台に、女同士の友情と三角関係などを描いたもの。キムラさんは花街で働く女性たちに頼まれ、恋文の代筆を行う前田奈津を演じます。自身の恋には奥手な奈津は若い頃から憧れている作家の加賀美涼月(渡辺徹)との関係を進めることができません。そんな奈津の元に、21年前に「死んだ」と聞かされていた大親友で元芸者の小菊(渡辺えり)が現れたことから一転。過去に思い人同士だった2人を再会させたくない奈津は、複雑な感情を抱えてしまいます。

「2年前、本番に向けて稽古をしていた作品の台本を改めて読み直して感じたのは『熟成が進んだワインのように、セリフが脳の深いところに入っているな』ということ。コロナ禍では、『死』について考えた時間がありました。会えない人に手紙を送ったり、言葉の重みと向き合ったりも。物語ではなく日々リアルに感じた『死』や『痛み』『愛』などについて、奥深い部分を表現できると確信しています」

 杉村さんの代表作の一つでもある『恋ぶみ屋一葉』は、読売演劇大賞・最優秀作品賞などを受賞した名作です。そこに初演や再演作にはなかった歌と踊りを盛り込み、現代によみがえらせました。

「子どもの頃は、アイドルグループ『フォーリーブス』の青山孝史さんに憧れて、歌手になりたいとオーディションを受けたこともありました。えりさんは『鬱々とした今の時代には、“笑いが必要”』とおっしゃっています。えりさんと私だからできる“有頂天”な舞台を、皆様に楽しんでいただきたい。全力を注ぎます!」