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彼岸や土用…季節の変化をつぶさに感じる日本 独自の暦日「雑節」とは?

公開日:  /  更新日:

著者:鶴丸 和子

八十八夜に摘まれた茶は縁起がいい?

新緑のお茶畑(写真はイメージ)【写真:写真AC】
新緑のお茶畑(写真はイメージ)【写真:写真AC】

○社日
 春分と秋分に近い「戊(つちのえ)」の日で、一年に2回です。「しゃにち」と読み、「社」とは土地の守り神のこと。春は農作業を始める節目の日「春社(しゅんしゃ)」、秋は収穫の節目とされる日「秋社(しゅうしゃ)」とも言います。生まれた土地を守ってくれる産土神(うぶすながみ)にお参りする習わしもあるそうです。

○八十八夜
 立春から88日目にあたり、春から夏に変わる節目です。一番茶を摘む季節で、この日に摘まれたお茶を飲むと長生きするともいわれています。「八十八」という字を合わせると「米」になることから、農業に携わる人々にとって特別な日。2022年は5月2日です。

○入梅
 太陽黄径が80度に達する日(以前は二十四節気の芒種の後の壬の日)です。青かった梅の実がこの頃に熟すことに由来します。この日を機に雨が続き、農作物に恵みをもたらすといわれてきました。暦の上では「梅雨入り」ですが、実際とは異なります。2022年は6月11日です。

農作業への警戒の目安になる雑節も

稲の花(写真はイメージ)【写真:写真AC】
稲の花(写真はイメージ)【写真:写真AC】

○半夏生
「はんげしょう」と呼びます。夏至の中の最後の七十二候にもあたり、半夏(はんげ)という薬草(毒草)が生える頃と考えられていたそうです。この日までに田植えを終えていなければ収穫が減るといわれ、この時期に農休みを取りました。2022年は7月2日です。

○二百十日
 立春から210日目を指します。台風の厄日とされていますが、統計上でこの日にやってくる台風が多いという意味ではありません。稲の開花時期にあたると同時に台風の襲来も多くなるので、農作業に携わる人にとっては警戒の目安にした日といわれています。2022年は9月1日です。

○二百二十日
 立春から220日目を指し、「にひゃくはつか」と読みます。二百十日と同様に、台風がやってくる厄日とされているそうです。また、地域によっては旧暦の8月1日を「八朔」といい、二百十日と合わせて「三大厄日」として警戒しました。実際にはこれ以降に台風が上陸することも少なくありません。

 日本は古くから季節の変化をつぶさに感じ、暮らしと密接につなげてきました。現代は季節の移ろいを感じる意識が薄れつつありますが、古くから伝わる年中行事や節目はしっかりと受け継いでいきたいですね。

(鶴丸 和子)

鶴丸 和子(つるまる・かずこ)

和文化・暦研究家。留学先の英国で、社会言語・文化学を学んだのをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。
インスタグラム:tsurumarukazu