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ブースター接種を事実上の“義務化” フランス国民が受け入れる背後にはお国柄が?

公開日:  /  更新日:

著者:小川 由紀子

ブースター接種を“義務化”するフランス。国内の状況は?【写真:Getty Images】
ブースター接種を“義務化”するフランス。国内の状況は?【写真:Getty Images】

 新型コロナウイルスの変異株が振るう猛威で感染者数が高止まりする中、日本では一刻も早いワクチン追加接種の普及が待たれています。一方、フランスでは今月中旬から事実上の“義務化”で追加接種を加速させる動きが。対策の背景には、同国におけるコロナ禍の経緯と国民性が深く関わっているようです。現地在住ライターの小川由紀子さんに、フランスの追加接種事情についてリポートしていただきました。

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目に映る街の風景はコロナ禍以前に戻りつつあるフランス

 1月25日に50万1635人と、新型コロナウイルスの新規感染者数が50万人超えたフランス。一時は「一体どこまで増えるのだろう?」というほど、感染者数の記録を連日更新していました。

 しかし、ここをピークにその後は減少傾向へ。現在は20万人程度まで減ってきています。また、ほぼすべての感染者で症状が比較的軽いと言われる変異株「オミクロン」に置き換わったせいか、周りの人たちを見ていると「もうコロナは風邪と同じでしょ」といった反応。もはや感染者数など気にしていない、といった様子です。

コロナ禍以前の姿を取り戻しつつあるフランス国内の様子【写真:小川由紀子】
コロナ禍以前の姿を取り戻しつつあるフランス国内の様子【写真:小川由紀子】

 2月2日からは屋外でのマスク着用義務に加え、スタジアムやアリーナなどにおける観客の人数制限も解除。海外からの観光客こそまだまだ少ないですが、目に映る街の風景はコロナ禍以前に戻りつつあります。

2月15日からブースター接種が「義務化」 多くの人には困った状況に

 そんなフランスは、来たる2月15日に“Xデー”を迎えます。

 この日を境に、3回目の新型コロナウイルスワクチン接種(ブースター接種)が事実上“義務化”されるのです。正確には2回目の接種から4か月が経過すると、飲食店や文化・娯楽施設、長距離列車などの利用に必要な16歳以上を対象にした「ワクチンパス」が失効してしまうということを指します。

 これまでは7か月以内にブースター接種をすればよかったのが、3か月も短縮されることに。そのため、多くの人がこのタイミングで3回目を打たないと、ワクチンパスを失ってしまうことになりました。

 フランスではまず昨年8月に、「パス・サニテール」と呼ばれる“衛生パス”を導入。この衛生パスは、ワクチン接種を完了(2回接種か1回で良いメーカーのものなら1回)しているか、PCR検査の陰性証明でも“仮パス”をゲットできていました。

利用客のワクチンパスを確認するパリの飲食店【写真:Getty Images】
利用客のワクチンパスを確認するパリの飲食店【写真:Getty Images】

 しかし、オミクロン株の猛威に押されるかのように、政府は1月24日から衛生パスをワクチン接種でのみ取得できるワクチンパスに変更することを決定しました(2歳から15歳については引き続き衛生パスを適用)。

 この時点でフランスは、「ワクチン義務化」の最初の局面を迎えました。そして今月15日からは、18歳以上はワクチン2回目接種の完了から4か月以内に3回目を済ませていること、つまりブースター接種がワクチンパス有効化の必須条件になります(コロナ陽性になった人は感染から4か月間)。