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感染急拡大の欧州は今 現地在住ライターが伝えるドイツの新型コロナ対策
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日本の新型コロナウイルス新規感染者数は増加傾向に転じているものの、比較的少ない水準に保たれています。しかし、特に欧州では変異株により感染が再拡大し、ロックダウンといった厳しい措置に踏み切る国も。ドイツではワクチン未接種者の行動規制や集会人数制限などの措置が実施されています。そうした中での生活とは、一体どのようなものなのでしょうか。現地在住のサッカー育成指導者でライターの中野吉之伴さんに“ドイツの今”を教えていただきました。
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ドイツの通称「3G」ルールとは ワクチン未接種者には厳しい行動制限も
世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。オミクロン株の感染者数が急激に増えてきている欧州では各国で新しい対策が次々に発表され、例えばオランダはロックダウンに突入するなど、慌ただしい動きが見られています。
筆者が暮らすドイツでも警戒態勢に入っており、厳しい制限が設けられるのではないかと連日メディアで報じられています。
元々、ドイツでは5月頃から通称「3G」と呼ばれるルールが導入されていました。
1. 24時間以内に発行された抗原検査の陰性証明書(Getestet)
2. ワクチン接種完了の証明書(Geimpft)
3. 新型コロナウイルスに感染し、その後完治したことを示す証明書(Genesen)
3つの「G」のうちどれかを提示し、感染を抑制しながらなるべく通常通りの生活を送れるようにするという措置です。ルール導入当初は大きな問題もなく、活動範囲も大分“普通通り”となっていたと感じていたものです。
それまでドイツでは、各地域における10万人ごとの新規感染者数を1つの目安としてとらえていました。しかしワクチンの接種率が上がってきたこともあり、新規感染者数を絶対軸としない方向へ。10万人ごとの入院患者数や重症患者数といった別の基準を設けようという流れになりました。そして、その新しい基準で数値が増えるごとに「通常段階」「注意段階」「警戒段階1」「警戒段階2」と段階が上がり、制限がどんどん厳しくなるという仕組みです。
例えば「注意段階」や「警戒段階1」になると、飲食店や屋内施設などの利用時は2Gのみ対応可能です。この2Gに「抗原検査の陰性証明書」は含まれません。つまり「ワクチン接種完了」か「新型コロナ完治」のいずれかのみが適用されるということです。
それこそ「警戒段階2」になると、健康状態などから接種可能なはずなのにワクチンを打っていない人にとっては、ほぼロックダウンと同じような状況になってしまいます。ちなみに、17歳までの子どもは幼稚園や学校で週2回の検査を行っているので、2Gを提示する必要はありません。
また、こうした対策はドイツ全土で一斉に行われるわけではありません。連邦制を採用しているドイツでは「国全体の大事なことは国会で、州ごとの実情に即した詳細は州単位で決める」というシステムがあります。
そのため新型コロナ感染対策も、アンゲラ・メルケル元首相と各州首相の協議によってまず国全体としての対策と方向性が決まり、それを各州首相が持ち帰って州ごとの詳しい対策内容を決めるという流れがずっと続いているんですね。