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ドイツが小4で大学進学を決断する理由 “勉強に対する適性”は早くも見える?

公開日:  /  更新日:

著者:中野 吉之伴

小学校で授業を受けるドイツの子どもたち【写真:Getty Images】
小学校で授業を受けるドイツの子どもたち【写真:Getty Images】

 小学校4年生になると、早くも大学へ進むかどうかの進路選択を行うドイツ。一見すると無茶にも思えるこの教育システムが、今も変わらず残り続けているのは一体なぜなのでしょうか。一方で同国では近年、この進路選択に見直しを求める声もあるようです。現地在住ライターの中野吉之伴さんに、小学生の段階でどのように進路を決めているのか解説していただきました。

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「子どもの間は子どもらしく」 小学校ではゆとりのある教育を行うドイツ

 僕は「ドイツサッカー協会公認A級指導者ライセンス」を取得しており、育成指導者として20年以上にわたり子どもたちと関わっています。進路選択に関しては、ドイツサッカーの現場でさえ「10歳の段階で子どもたちが将来的な想定をすることは果てしなく難しい」という声の方が圧倒的に多いのです。

 スポーツ全般をはじめ、音楽や芸術、勉強でも、日本では「早期教育」というキーワードが少なからずマーケットをにぎわせています。しかし当然、子どもたちの成長には個人差があるもの。年代別の指針があってもいいですが、それが絶対的な存在ではないはず。“遅咲き”の子どもたちも数多くいるのです。習得に時間がかかる子だって普通にいます。

 ドイツでは少なくとも小学校の間はカリキュラムの進行もかなりのんびり。「このペースで大丈夫?」とこちらがやきもきするくらいです。普段の宿題もそこまで多く出されることはないですし、長期休み中は“宿題なし”が普通なので、子どもたちは思い思いに遊ぶことができます。

 親の方にも、「空いた時間は習い事に通わせて」と“詰め込み”を行う様子はあまり見られません。周りの友人家族の様子を見ていても、サッカーをする場合は、小学生年代だと練習を週に2回(90分ずつ)と週末に1試合を行う程度。あとは週に1コマ(60~90分)でギターやピアノの演奏を学んだり、自治体が主催する遊びに参加したりします。

 もちろん、ドイツにも教育熱心な親はいるでしょう。それでも、「子どもの間は子どもらしく、慌てず焦らずじっくりと成長する方がいい」という考えを持つ人が多数派ではないかという印象を受けています。