ライフスタイル
心地よい生き方を実現するために 暮らしの中に“取り入れたもの”と“さよならしたもの”
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米ロサンゼルスの片田舎に住み、そこでの生活や発酵食品の魅力などを発信する小田島勢子さん。昨年には「丁寧でシンプルな暮らし」を送るためのオンラインコミュニティも開始しました。そんな勢子さんが、「暮らし」をテーマに前後編で綴る連載エッセイ。後編の今回は、心地よい暮らしのために「取り入れたもの、さよならしたもの」についてです。
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棚を生かした部屋作りが生む“そこにあること”の心地よさ
私が暮らしの中で大切にしたいことは実にさまざまです。日々使う道具などの“物質的なもの”から充実感や幸福感といった“精神的なもの”まで。ただ、核となる考えは“いかに心地よく暮らすか”ということです。そのため、私自身には暮らしに“取り入れたもの”もあれば、ライフスタイルや価値観の変化によって“さよならしたもの”もありました。
まずは暮らしに取り入れている“物質的なもの”にフォーカスしてご紹介しましょう。
我が家には押し入れやパントリーがほとんどありません。そのため、収納の問題は必然的に棚を作って解決しています。棚に並んでいるのは、ガラス瓶に詰め込まれた手作りの発酵食品、普段使いのコーヒーミルやお茶碗など、生活感を感じさせるもの。
棚に物を並べることは、単に出し入れがしやすいだけでなく、部屋という空間に“あること”の心地よさも与えてくれるように思います。
子どもたちと家の中の装飾品作り ハーブや花も活用
とはいえ、棚だけだと空間はまだ少し味気のないものに。そこで、壁や棚に飾る装飾品を子どもたちと制作し家の中を盛り上げています。
装飾品の中には、子どもたちの描く絵があります。画用紙を使うこともありますが、我が家では小さなキャンバスにアクリルペイント(絵の具)やマーカーなどで描くのが主なスタイル。
画用紙に描くと他の紙に埋もれてしまったり、飾る時に紙が反ってしまったりすることがしばしば。しかし、キャンバスはそのまま壁にかけるだけで、何ともアーティスティックな雰囲気を醸し出してくれます。
さらに、アクリルペイントが乾けば、上からまた新たな絵を描くことが可能なのもキャンバスならでは。実際に我が家では、前回使ったキャンバスに新しい作品を上書きして、10枚くらいリサイクルしています。
そうして、家の中を日々華やかにしてくれる作品は季節の移り変わりを教えてくれるだけでなく、子どもたちの成長も実感できるため、私にとっての宝物になっています。
我が家の芸術は他にも。季節の移ろいとともに、実や種となったハーブや花の枝を飾っています。子どもの絵とは対照的な、自然の造形美もまた何ともいえない贅沢なアートです。ただ飾るだけでなく、ハーブは晩ごはんのおかずにアクセントとして加えることができますし、実や種がついたドライフラワーはその後、庭に種をまくことで次の春にはまた花を咲かせてくれます。