からだ・美容
春に眠くなる理由とは ぐっすり眠るには物理的に“頭を冷やす” 考え事を収める効果も
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:西谷 綾子
安眠を妨げる要素は季節ごとに異なります。「春眠暁を覚えず」などといわれる春にも、暖かくなり草木も動物の動きも活発になる季節だからこそ、眠りを妨げる理由が。そんな春の快眠テクニックを、タレントで睡眠改善インストラクター(日本睡眠改善協議会)でもある西谷綾子さんに伺います。連載第20回のテーマは「春の快眠テクニック」です。
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寒い日と暖かい日がある春 まずは起床時の室温をチェック
【今回のお悩み】
「春は眠くて仕方ないという話をよく聞きます。でも、冬から春へと切り替わるこの時期も、なぜか目覚めが良くありません。私だけやる気がないみたいに感じられて、日々のモチベーションも下がってしまいます。三寒四温の時期はどうすれば快眠できるのでしょうか?」(Kさん)
寒暖定まらぬ日々が続いています。厳しい寒さは少しずつ和らいできましたが、寒い朝はお布団から出るのも一苦労。「起きなければ」と手足を出してみたら、思った以上の空気の冷たさに再びお布団に逆戻り……。そんな葛藤は目覚めの爽快感を奪います。
そうした葛藤を体に覚えさせてしまっては、起きることがつらくなるだけ。「寒いから布団から出たくない、だからなかなか起きられない」という悪循環は、室温を上げることで乗り切りましょう。
朝の目覚めが良くなる方法として、まだ肌寒いこの時期は起床1時間前に暖房をセットして眠ることをおすすめします。室温が暖かいと目覚めは格段に良くなり、スッと起きられるようになりますよ。
春はなぜ眠いのか “自律神経の切り替わり”も影響
一方で、暖かい朝を迎える日があるのも春ですが、そんな日は眠気が一日中抜けないこともよくありますよね。春はなぜ眠いのか? 気温上昇による疲労などともいわれますが、“自律神経の切り替わり”による影響もあります。
これからの季節、体は春夏にかけての気温上昇と気圧低下に適応できるよう準備をスタート。気温上昇によって体力が奪われるため、消化能力を高めてエネルギー効率を上げることで補おうとします。
この働きによって3月末くらいからリラックス状態となり、春夏には自律神経の副交感神経の活動が優位になります。副交感神経の活動を高めて、暑い季節に内臓への負担を軽減するためです。このように副交感神経の働きが高まると、睡眠欲求が増します。そのために、春は眠くなりやすくなるわけです。
それを理解しておくと、「春なのにやる気がないなんて……」と自分を責めることはなくなるかもしれません。でも、眠いからといって休日にたっぷり昼まで眠ってしまうと、体内時計のリズムが崩れてしまいます。起床時間は変えないように心がけましょう。