からだ・美容
更年期はなぜ肌が荒れる? エストロゲン減少で“バリア機能”も低下 おすすめ保湿ケアは
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教えてくれた人:辻 晋作
「気になっているけれど、正解がどうも分からない……」という健康や美容の疑問を、辻晋作医師が医学博士の視点から解説する連載の第2回。今回は女性を悩ませる「季節の変わり目の肌荒れ」についてです。ホルモンバランスが乱れ、肌のバリア機能が低下している更年期世代は、肌が敏感になっているためトラブルが起きやすくなっています。肌荒れの原因から対策まで教えていただきました。
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女性ホルモン「エストロゲン」の減少で肌のハリやみずみずしさが失われる
よく“25歳はお肌の曲がり角”と言われますが、本当の曲がり角は、実は40代半ばからです。20代後半から30代は肌の水分量と油分のバランスが良く、肌のコンディションが整いやすい時期。40歳を過ぎた辺りから水分量が徐々に減っていき、皮脂量も下降します。目尻のシワや頬のたるみが気になり始める年齢ですね。
肌の変化には女性ホルモンが大きく関わっています。加齢とともに卵胞ホルモンの「エストロゲン」が減少していくのはご存じでしょう。このエストロゲンが肌の弾力を保つコラーゲンの生成や、水分量を高める働きを担っているのです。
閉経前後の約10年間でエストロゲンが急激に減少し、のぼせやめまい、耳鳴り、ホットフラッシュなどの不調が現れてくるのが更年期。かさつき、シワ、くすみやたるみなど肌のトラブルが発生しやすいのも、更年期症状の一つです。
エストロゲンが減る一方で、男性ホルモンのアンドロゲンは、更年期でも分泌量が減ることはありません。アンドロゲンは角質を厚くしたり、皮脂の分泌を促したりするものなので、肌がゴワゴワすると感じる人もいるかもしれません。
肌の水分量が減ることで、外界からの異物侵入を防ぐ“バリア機能”が低下
肌=皮膚の最大の役割は、体内に異物が入らないように守ること。そして体内の水分を逃がさないための“バリア機能”です。しかし、肌の水分量が減るとこの機能は低下。外からの異物に対して敏感に反応し、かゆみや炎症を起こします。
季節の変わり目、特に春先は花粉、黄砂や紫外線など肌に負担となる異物が多く存在します。また、寒暖差も肌にとっては悪影響。大手化粧品メーカー資生堂の研究によると、肌のバリア・保湿機能を保つ酵素が寒暖差によって減少することが分かっています。更年期の方だけでなく、どの世代にとっても季節の変わり目は肌にとって過酷な状況といえます。