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からだ・美容

更年期はなぜ肌が荒れる? エストロゲン減少で“バリア機能”も低下 おすすめ保湿ケアは

公開日:  /  更新日:

著者:岩淵 美樹

教えてくれた人:辻 晋作

いつものスキンケアにワセリンパックをプラスして“バリア機能”を高める

 肌の水分量が減り、“バリア機能”が低下すると肌の乾燥が進行しやすくなります。水分量を保つためには保湿ケアが重要。ただし、肌が敏感になっている時期に新しい化粧品を加えるのはリスクが高く、あまりおすすめできません。肌が化粧品の成分に通常よりも敏感に反応するため、ヒリヒリしたり赤みが出たりなど、トラブルが起こる場合があるからです。

 また、肌荒れが起きてから保湿に特化した化粧品で対応しようと思っても、すぐに肌が良くなるわけではありません。かさつき、かゆみなどの肌荒れを起こしている時は「ワセリン」がおすすめです。

 ワセリンは石油を精製した保湿剤で、肌をコーティングして水分を逃がさないようにするために使われることが多いものです。ワセリン自体に保湿成分が含まれているわけではなく、成分が肌に浸透するものでもないので、副作用が起こることはほとんどありません。肌に油膜を張ることで外界の刺激から肌を守り、水分の蒸発を防いでバリア機能をキープしてくれます。

 ワセリンを塗るとベタベタしますので、私のおすすめは日中ではなく就寝中の使用です。お風呂上がりに化粧水、乳液などいつものスキンケアを行った後に塗ってください。朝、ぬるま湯で洗顔をすれば落ちます。顔だけでなく手や足など乾燥が気になるところにも塗るといいですよ。私も職業柄、手をよく洗うので手がかさつきやすいのですが、寝る前にワセリンを塗っておくとしっとりとします。

 ワセリンにも種類があります。ワセリンを基剤としてビタミンなどを配合している製剤もあります。薬局でも売っていますし、自分に合ったものを探して使用していただければ問題はありません。

 ただ、アレルギー体質の方や季節の変わり目で現在敏感になっている方は、白色ワセリンのようなできるだけ白いものをまずおすすめします。精製度が高く不純物が少ないためです。心配であれば皮膚科に相談することもいいと思います。症状がある場合、ワセリンは処方でも手に入れることができます。

肌も臓器の一つ 質のいい睡眠と食事で日頃から体調を整えることも大切なケア

 肌=皮膚は体を覆う人体最大の臓器であり、肌の状態を左右するのは普段の生活習慣です。また、年齢を重ねると体のさまざまな機能が低下し、不調も現れやすくなります。

 更年期は自律神経も乱れがちで、眠れないこともしばしば。暖かくなるとシャワーだけで済ませがちですが、湯船に入る習慣をつけましょう。お風呂にゆっくりと入ることで眠りやすくなり、さらに汗をかくことで肌の汚れもすっきりと落ちやすくなります。

 栄養バランスの取れた食事、適度な運動など、普段の生活も見直してみてください。

(岩淵 美樹)

辻 晋作(つじ・しんさく)

1974年1月17日生まれ。東京大学医学部卒。帝京大医学部形成外科、埼玉医科大形成外科、東京女子医科大非常勤講師として勤務しながら、28歳で美容医療の「アヴェニュークリニック」開業。42歳で再生医療専門の「アヴェニューセルクリニック」開業。医学博士、日本専門医機構認定形成外科専門医、日本再生医療学会再生医療認定医、「アヴェニューセルクリニック」再生医療統括医師。著書に「あなたを救う培養幹細胞治療」(集英社インターナショナル刊)、「靴の中に入れるだけ2Gかかとインソール」(主婦の友インフォス刊)、「ひざ痛は治る」(秀和システム刊)がある。