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宝塚は「自分で戦っていくしかない場所」 元花組トップ高汐巴さん50周年に語る昔と今
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インタビュアー:竹山 マユミ
1914年の初公演以来、108年の歴史を誇る宝塚歌劇団。華やかなステージでファンを魅了し、数多くのスターたちを輩出してきました。「Hint-Pot」はそんな宝塚の世界をクローズアップする新企画「Spirit of タカラヅカ」をスタート。すでにハマっている方だけではなく興味を抱いている方にも、その魅力をお伝えしていきます。記念すべき1回目は元花組トップスターの高汐巴さん(※「高」ははしごだか)が登場。芸能生活50周年の節目を迎え、記念公演を控える中で語っていただいた「昔」と「今」を3回にわたってお届けします。インタビュアーは宝塚をこよなく愛するフリーアナウンサーの竹山マユミさんです。
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50周年記念公演は2本立て かつての相手役・秋篠美帆さんと共演
竹山マユミさん(以下竹山):まずは芸能生活50周年、おめでとうございます。現在の心境はいかがですか。
高汐巴さん(以下高汐):あっという間に50年経ったという感じですね。宝塚を退団して35年経ちますけれど、ついこの前まで19歳だったみたいな感覚で、外見以外はまったく変わっていないという感じです。何周年とかそういうのにあまりこだわりはない方ですが、今回ちょうど節目だということで、50周年公演に少し身が引き締まる思いです。
竹山:そんな中で、いよいよ50周年記念公演のステージ「Respect me!」を迎えます。
高汐:今回はミュージカルコメディとショーの2本立てです。どちらも素晴らしい音楽にあふれた作品です。
竹山:まさに高汐さんの本領発揮というステージになりそうですね!
高汐:海をテーマにしたショーで、すごく素敵な曲ばかり。かなり良い仕上がりになると思います。楽しみにしていてください。
竹山:今回は、かつて高汐さんの相手役だった娘役の秋篠美帆さんとご一緒ですね。再びおふたりが見られるとあって、ファンにとっても楽しみが尽きません。
高汐:その時代がよみがえり、懐かしく温かな時間を過ごさせていただき、とても幸せです。他にも宝塚のOGメンバーが出演させていただきます。みんないろいろな経験をして、大人になって、また素敵になって共演できることは最高です! そして皆様とも共有させていただける素晴らしい時間になると、今から楽しみにしております。
「何もしていなかった」のに宝塚音楽学校に合格 入学後は“不良”に!?
竹山:現在も数々の素敵なステージに立たれていますが、「宝塚歌劇団」は高汐さんがずっと目指していらっしゃったところだったのですか。
高汐:いやまったく。京都で生まれ、小学校2年生の時に両親が結婚生活を解散して、それで京都の父の方にいたんです。けれど、私の性格がちょっと暗くなっていることを周りに心配されて、中学3年生の時に母の方に戻りました。それが大阪の豊中で、阪急電鉄の宝塚線沿線だったことから、宝塚と出会ったのです。
そこで自分から生まれて初めて「やりたい」と意思を持ったのが宝塚の舞台。だから、お稽古ごととか何もやっていませんでした。
竹山:それで合格されたのですか! 合格できた要因はどこにあったと思われますか?
高汐:私の場合、きっちり出来上がっていたわけではなくて、要因はやっぱり、伸びしろでしょうね。宝塚はやはり女性が男性の役を演じるという「男役」が魅力の一因でもあるので、技術よりは何かの面白さというか伸びしろというか、可能性で合格したのだと思います。
竹山:そうなると、厳しいといわれている宝塚音楽学校(2年制の養成所で宝塚入団のためには卒業が必須。卒業後に入団すると在団中は「生徒」と呼ばれる)では大変だったのでは。
高汐:いえいえ。もうサボったり、遊んだりするのが面白くて……。先輩の目をくぐり抜けてね。
竹山:大丈夫だったのですか? 宝塚の世界って、先輩に対して“絶対服従”じゃないですか?
高汐:そうそう。だからもう“不良”ですよね。一般では経験できないスリルとサスペンス! お稽古もしっかりやらなかった。でも、すごく面白かったですし、楽しかったですよ。普通では経験できないことばかりというか。最高の青春時代でした。