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和久井映見が作品の質を上げる理由 『劇場版ラジエーションハウス』でも見せた柔軟さ

著者:関口 裕子

柔和なのに揺るがない…自身とどこか似ている大森先生

「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」で和久井が演じる大森先生は、おっとりした口調の人物だ。よく病院内の自室を訪ねてくる人々にお茶を振る舞う余裕もある。ただしそのお茶の色はブルーで、必ずしも相手を癒やすものではないようだ。

 バイアスをかけることなく物を見ることができ、情もあり、たとえぶつかっても最善の方法を選ぶ勇気もある。ドラマの最初のシーズンでは甘春総合病院の院長だったが、第2シーズンでは研究のために米国のワシントン大学に移り、いち医師として甘春総合病院に戻ってきた設定。

(c)2022横幕智裕・モリタイシ/集英社・映画「ラジエーションハウス」製作委員会
(c)2022横幕智裕・モリタイシ/集英社・映画「ラジエーションハウス」製作委員会

 間もなく公開される『劇場版ラジエーションハウス』でも窮地に陥ったヒロイン、甘春杏(本田翼)を救うため、病院の合理化を謳う甘春総合病院新院長(高嶋政宏)と渡り合う。柔和なのに揺るがない。根っからの研究者であり、人格者。そんなところも和久井に似ている気がする。

 和久井はよく、演じている最中に演じている役について気付くことがあると話す。その適度なスタンスこそ、我々が見習うべきものであり大切なことなのではないかと思う。

 準備していてもできないことも多い。ならば走りながら見つけていけばいい。そう柔軟に考えることができるだけで楽になることも多いのではないか。和久井こと大森先生を見ながらそう思った。

「劇場版ラジエーションハウス」2022年4月29日(金・祝)全国東宝系にてロードショー(c)2022横幕智裕・モリタイシ/集英社・映画「ラジエーションハウス」製作委員会

(関口 裕子)

関口 裕子(せきぐち・ゆうこ)

映画ジャーナリスト。「キネマ旬報」取締役編集長、米エンターテインメントビジネス紙「VARIETY」の日本版「バラエティ・ジャパン」編集長などを歴任。現在はフリーランス。

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