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アサリの砂抜き 終わった直後の調理を避ける理由とは 豊富な栄養素と選び方のコツも

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

古くから食べられてきたアサリ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
古くから食べられてきたアサリ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 もうすぐ大型連休。この時期は潮干狩りのハイシーズンですね。潮干狩りの“主役”でもあるアサリはスーパーマーケットなどで通年手に入りますが、実は春から初夏が旬。みそ汁の具や酒蒸し、深川飯など、旨味たっぷりの食材として日本の食卓になじみがあります。今がおいしいアサリについて、栄養士の和漢歩実さんに伺いました。

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今の時期は産卵期の直前 身が詰まり味も濃厚

 諸説ありますが、アサリの語源は「漁る」に由来するという説が有力です。浅い場所にいるので「浅貝」の意味があり、「浅い」と砂利の「さり」が由来しているとみられています。かつては日本各地で「漁る」ほど、アサリがたくさん獲れていました。そのためか日本人が食用としてきた歴史は古く、弥生時代の貝塚から貝殻が発見されています。

 一年を通して手に入るアサリですが、旬は春と秋の2回。潮干狩りシーズンであるちょうど今の時期は産卵期の直前にあたり、栄養を溜め込みます。殻いっぱいにふっくらとした身が詰まり、味も濃厚でおいしい時期です。

 生息している場所は湾内の干潟や砂地など。砂に潜り、水管を伸ばして海中の植物プランクトンや浮遊有機質をこし取って食べています。アサリがたくさんいる干潟は海水がきれいだといわれています。

アサリの栄養価は? 骨や歯を丈夫にするマグネシウムやカルシウムも

アサリの酒蒸し(写真はイメージ)【写真:写真AC】
アサリの酒蒸し(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 アサリに含まれる栄養を順に見てみましょう。タウリンを筆頭にマグネシウムやカルシウムなど、体にうれしい成分が含まれています。

○タウリン
 アサリの代表的な栄養の一つがタウリン。タンパク質が分解される過程でできるアミノ酸に似た物質で、カキやホタテに次いで多く含んでいます。厚生労働省e-ヘルスネットよると、タウリンにはコレステロールの吸収抑制や心臓及び肝臓の機能向上、視力の回復、高血圧の予防などの働きが期待できるそうです。ただし水溶性のため、アサリから摂取する際のメニューは汁ごといただくみそ汁やクラムチャウダー、酒蒸しなどが良いでしょう。

○マグネシウム、カルシウム
 骨や歯の健康が気になる人にもアサリはおすすめです。アサリに含まれているマグネシウムは100グラムあたり100ミリグラムと、他の貝類と比べて多くたっぷり。マグネシウムは骨や歯の成分であり、筋肉の収縮や神経の興奮を抑えるなどの機能でもおなじみです。また、アサリには骨や歯の主成分であるカルシウムも含まれています。

○亜鉛、鉄、コハク酸
 味覚や生殖機能を正常に保つ亜鉛、貧血予防が期待される鉄も含まれています。さらに、アサリの旨味はコハク酸と呼ばれ、新陳代謝を高める働きが。このことから、近年は美肌や減量効果が期待されています。

 アサリを食べる時は、カルシウムの吸収率を上げるビタミンDを多く含むキノコ類と、鉄の吸収率を上げるビタミンCを多く含む食材と一緒にとるのが良いでしょう。いつものアサリの酒蒸しにシイタケなどのキノコ類を加え、いただく前にレモン汁をひと絞りしてみてはいかがでしょうか。汁ごと飲み干して、水溶性のタウリンも余すところなくいただきましょう。