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ハマグリはなぜ“縁起が良い”のか? ひな祭りなどに欠かせない理由 気になる栄養価は
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教えてくれた人:和漢 歩実
ひな祭りのお吸い物などに使われるハマグリ。マルスダレガイ科の二枚貝で、春に旬を迎えます。古くから日本人に食べられ、貴族の遊びとして伝わる美しい「貝合わせ」にも用いられてきました。今さら聞けないハマグリについて、栄養士の和漢歩実さんにお話を伺いました。
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ひな祭りや結婚式でハマグリが使われる理由
ハマグリは漢字で書くと「蛤」ですが、形状を“海の浜の栗”に見立てた「浜栗」からその名が付いたといわれています。日本では縄文時代の貝塚から多数見つかっており、たくさん食べられていたと考えられているそうです。
二枚貝のハマグリは貝殻が一対になっていて、同じハマグリならぴたりと合います。そのため、平安時代から伝わる日本の遊び「貝合わせ」にも、ハマグリの貝殻が使われてきました。この遊びは対になった殻の片方を「地貝」、もう一方を「出し貝」と呼び、それらを一つずつ比べて合わせていきます。貝殻の内側に和歌や絵を描き、対になる貝を組み合わせるようにもなったようです。
ハマグリは縁起の良い食材ともされています。ひな祭りや結婚式などの祝い膳に欠かせない理由は、生涯ぴったりと歩める人と出会い、仲良く添い遂げるようにという願いが込められているからです。
また、誕生してから1~2年の若いハマグリは、長さが1~3メートルにもなる粘液の紐を分泌して、その浮力によって移動します。潮の満ち引きを利用して分速1メートルほど移動できるとか。「ハマグリ、一夜に三里(約12キロ)を走る」ともいわれています。