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「チクチク」「ズンズン」ってどんな痛さ? 日本で働く台湾女性が語るニッポンの不思議
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親日国として知られる台湾。2国間の関係は年々親密度を増しており、日本からの人気の渡航先としても注目される他、雇用の現場では日本で働く台湾人が増加傾向にあるようだ。法務省の発表によると、2017年の在留台湾人数は5年前の2012年に比べ、約43%も増加している。SB C&S株式会社に勤めるツン・ミア(鄭 夙晴)さんも日本で働く台湾人のひとりだ。現在は、日本人男性と結婚し、二児の母として働いているミアさんの感じた日本の職場の不思議や、病院で受診する際に難しかった、日常生活での困ったことなどを聞いた。
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祖母の影響で抱いた日本への憧れ
現在35歳のミアさんは、もともと日本に強い関心があり、大学卒業後、台湾にある国際企業人材育成センターで日本語や文化を勉強したという。それというのもミアさんの祖母は、日本統治時代に生まれ育ち、日本語はペラペラ。そんな祖母の影響もあって、幼い頃から「いつか日本で働きたい」と考えていたそうだ。
「日本語を学び始めた頃、祖母に日本語で話しかけるととても喜んでくれました。台北には日本人旅行者が多いこともありますが、若い世代でも簡単な日本語ができる台湾人がたくさんいますよ」
「日本語世代」が減りつつある台湾だが、今でも日本へ親しみを持つ台湾人は根強くいるそうだ。日本に住み始めて約10年になるミアさんは、ほとんど訛りを感じさせない流暢な日本語で話す。
しかし、祖母から日本のことを聞き、出張や旅行で何度も日本を訪れたことのあったミアさんでも、移住当初は戸惑うことがとても多かったという。
学校で学んできたことと実際との違いに戸惑いも
「日本に来て一番最初に苦労したのは、銀行口座を開設することができないことでした。何件も回りましたが、日本に来たばかりの外国人が開設するのは難しいと言われ苦戦。口座がないと携帯電話の契約もできません。一週間ほど調べに調べ、ようやく郵便局なら比較的作りやすいという情報を知り、事なきを得ました」
日本に住む前は、観光客に対して親切、街もキレイでマナーがよく、日本人はジェントルなイメージだったというミアさん。日本に来てそのイメージが変わることはなかったというが、この一件で日本で働くのは「外国人にとってハードルが高い」と感じたそうだ。
そして、やはり頻繁に困ったのは言葉だ。台湾の国際企業人材育成センターで、日本人講師からしっかりと日本語と日本文化を学んできたミアさんだったが、実際に日本人が毎日話す言葉と、学校で習ったものでは大きな違いがある。休みの日は書店へ足を運び、本を買っては勉強したそうだ。
また、移住前にさまざまなビジネスマナーを学んできたが、電話の対応にも四苦八苦。現在は個人に携帯電話が支給され、他の人宛ての電話を代わりに出ることは少なくなったが、最初は電話の呼び出し音がなる度に、とても緊張したという。
「日本の電話対応はとても丁寧ですよね。学生時代に3回以上呼び出し音が鳴ったら失礼にあたると教えられ、たくさん練習をしてから来日しましたが、いつ電話が鳴るんじゃないかとびくびくしていました。まず、会社名を名乗るところから難しかったです。台湾では電話に出るときは名乗らず、『ニーハオ』くらいしか言いませんからね」