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5月5日は「端午の節句」 柏餅を食べる理由とは ちまきを食す地方も
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カシワは神が宿る木 縁起を担いだ行事食
柏餅は上新粉や白玉粉で作ったきめ細かい白い餅であんこを包み、カシワの葉で巻いたものです。日本発祥で、江戸を中心に広がってきました。誕生の理由には次のようなものもあったようです。
カシワはブナ科の落葉樹。葉が枯れても新芽が出るまでは落葉しないことから、古くから「神が宿る」神聖な木とされてきました。このことから「子が生まれるまで親は生きる」や「家系が絶えない」といった縁起の良いものとされてきました。そこでカシワの葉で餅を巻いた柏餅が、子どもの成長を願う端午の節句の行事食として食べられるようになったそうです。
柏の葉は関西以南では育ちにくく、サルトリイバラ(サンキライ)という植物の葉が使用されることが多いようです。葉の形は楕円で、丸みがあるのが特徴。いばら餅と呼ぶ地域もあります。
この他にもべこ餅や笹巻きなど、各地域で受け継がれてきた和菓子があります。新茶の季節でもあるこの時期、おいしいお菓子でも日本の文化を感じてみましょう。
【参考】
「日本のしきたりがまるごとわかる本」(晋遊舎)
「和菓子の基本」(エイ出版社、エイはきへんに「世」)
「行事を楽しみ旬をあじわう 12カ月の食卓」(野上優佳子著、笠倉出版社)
レファレンス協同データベース(島根県立図書館)
https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000182136
(鶴丸 和子)
鶴丸 和子(つるまる・かずこ)
和文化・暦研究家。留学先の英国で、社会言語・文化学を学んだのをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。
インスタグラム:tsurumarukazu