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端午の節句 鯉のぼりや柏餅に込められた思いとは ステイホームで日本の伝統行事をおさらい

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:池田 由美

鯉のぼり(写真はイメージ)【写真:AC】
鯉のぼり(写真はイメージ)【写真:AC】

 5月5日は「端午の節句」、そして「こどもの日」です。普段は大型連休の祝日最後の日で、お出かけやレジャーなどに忙しく過ごしているかもしれませんが、今年は外出自粛のステイホーム週間に。家で過ごす機会が多い今、古くから伝わる日本の年中行事の1つでもある端午の節句をおさらいしてみましょう。地域によって風習が異なり、諸説ありますが、栄養士で家庭科教員の池田由美さんに聞きました。

 ◇ ◇ ◇

5月5日はこどもの日 地域により風習は異なるが子の成長を願う気持ちは同じ

――端午の節句、子どもの日の由来は何でしょうか?

「端午の節句は奈良時代から始まったと言われています。節句とは、古代中国の陰陽五行説を由来として日本に定着した暦で、伝統的な年中行事を行う季節の節目となる日。端午というのは、もとは月の端(はじめ)の午(うま)の日という意味で、5月に限ったものではなかったようです。しかし、午(ご)と五(ご)の音が同じなので、毎月5日を指すようになり、やがて5月5日になったという説もあります。男の子の成長を祝い、鯉のぼりや五月人形を飾る風習があり、立身出世を願います。1948年に5月5日を『こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに母に感謝する日』として『こどもの日』に制定しました」

――青い空の下、風になびく鯉のぼりは、こどもの日の風物詩ですね。

「古くから中国に『鯉が竜門の滝を登ると竜となって天をかける』という伝説があり、それになぞらえて空に吹き流しに鯉の絵を描くようになったのが鯉のぼり、という説があるようです。飾る目安は、春分の日を過ぎてから4月中旬頃までのよく晴れた大安の日に。大安は『大いに安し』、つまり何事においても成功する日とされています。また、片付けは、3月3日のひな人形の片付けとは違い急ぐ必要はないようですが、よく晴れた大安の日が最適と言われています」

――それぞれの鯉に意味はあるのでしょうか?

「鯉のぼりには、それぞれ意味があると言われています。たとえば、車輪の上部についている回転球の天球は神様を招き、矢車はカラカラの音が魔除けになっているなどです。吹き流しは五行説に由来しています。一番大きな真鯉は黒色で、五行説では冬の命を支える水の意味を持ち、大きく貫禄がある父を表します。次に緋鯉は赤色で生命を育む夏、知恵の火の意味を持ち、子育てをする母を表します。そして子鯉は青色で春の木の意味を持ち、すくすくと伸びる木のように成長を願っていると見られています。なぜ秋がないのかは疑問ですし、諸説あると思いますが、子の成長を願う家族の気持ちが込められているのは確かです」

――歌もありますね。屋根より高い、鯉のぼり、大きい真鯉はお父さん。

「有名な歌ですが、歌詞にお母さんが出てこない、ということを指摘されることがありますね。『大きい真鯉はおとうさん、小さい緋鯉はこどもたち、面白そうに泳いでる』が1番です。この歌は1931年頃に作られたようですが、当時の家父長制度という時代背景が反映されているようです。後になって、お母さんが登場する2番、3番が作られて広まったということもありますが、当時の歌は正式にはこの1番だけのようです」