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ビワの見逃せない栄養素 種を食べるのはなぜNG? 上手にむくコツは軸を持つこと
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教えてくれた人:和漢 歩実
初夏の味覚として人気のビワ。みずみずしい果肉は、さわやかな甘さが特徴です。実は栄養面でも優れていて、暑さが気になるこれからの時期に食べておきたい果物の一つ。新鮮なものの見分け方や保存のコツなどについて、栄養士の和漢歩実さんにお話を伺いました。
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日本で栽培が始まったのは江戸時代
バラ科ビワ属に属するビワは、主に東アジアの温帯地域から亜熱帯地域に分布しています。ビワの木は弾力性があり、乾燥させると硬くなる性質があるため、家具や杖などの材料として使われてきました。
また古くから薬効も知られていて、咳や痰、胃もたれなどに葉を煎じて飲むなど、漢方薬や民間療法に用いられてきました。日本にも自生していたとみられていますが、栽培が本格化したのは江戸時代に中国から伝わったのがきっかけです。
現在は九州や四国地方、千葉の南房総などの暖かい地域が産地として知られています。ハウス栽培は初春に出回りますが、露地栽培の収穫時期は一般的に5月以降。ちょうど今がおいしい季節です。
注目すべき栄養は? 種を食べるのはNG
ビワ(可食部100グラムあたり)の栄養について、日本食品標準成分表2020年版(八訂)で見ていきましょう。種類や粒により重さは異なりますが、1個50グラムとして廃棄率は30%。そのため、可食部100グラムは3個を目安にすると良いでしょう。
エネルギーは41キロカロリーと低く、食物繊維は1.6グラム。特に、βカロテン(510マイクログラム)と、βクリプトキサンチン(600マイクログラム)が豊富に含まれています。これらは体内でビタミンAに変換されるので、粘膜や皮膚、目の健康に有益な働きが期待できるでしょう。
86.3%は水分ですが、汗と一緒に排出されるカリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルも多く含みます。これから暑くなってくる時期に摂取したい果物です。
また、未熟な果実や種子は食べないようにしましょう。シアン化合物と言われる天然の有害物質が高能度で含まれているためです。農林水産省のウェブサイトによると、種子を乾燥させて粉末加工などを施した食品について「シアン化合物を一度に大量に摂取する危険性が高まる」そうです。そのため、ビワの種子の粉末は食べないようにと呼びかけています。