どうぶつ
元有名競走馬が枕を使って居眠り 人間のような行動に9.6万人驚愕 「気持ち良さそう」
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「引退馬にいかに幸せな“サードキャリア”を用意してあげられるか」
かわいらしい寝姿を披露してくれたアドマイヤジャパン。現在は岩崎さんが運営する牧場「Yogiboヴェルサイユリゾートファーム」で暮らしています。引退馬が安心して余生を過ごせる場所を作りたいという思いから生まれた同牧場は、「馬たちにとってリゾートのような場所に」を合言葉に、18年頃から本格的な運用が始まりました。
「私は元々、馬術競技をやっていました。そこで競走馬から転用された馬に乗っていたこともあって、サラブレッドに触れる機会があったのです。そこで、競走馬は最終的にどこへ行くのかと気になっていました。
引退して種牡馬や繁殖牝馬に上がった馬たちも、いずれは引退する時が来ます。そうした馬たちの行き先がなかったり、行方が分からなくなったりという話も聞いていました。現役時にファンから愛された有名馬でもそういうことがあるそうで、ならば個人的に支援しようと思ったのが牧場をつくったきっかけです」
今回の動画の主役となったアドマイヤジャパンも02年4月生まれの20歳。04年に中央競馬(JRA)でデビューし、06年4月のレースを最後に現役から引退しました。その後は18年まで種牡馬として活躍。19年からは同牧場で繋養されています。
同牧場には他にも、10年のジャパンカップなどGIを2勝したローズキングダムや、02年のGI東京優駿(日本ダービー)を武豊騎手とのコンビで制したタニノギムレット、11年のGI天皇賞・春で優勝したヒルノダムールなど、競馬ファンにとっては垂涎ものの名馬23頭がのんびりと余生を過ごしています。
「他の牧場やオーナーさんから、引退後の行き先がない、引き取り手がないといった話を聞いて引き取った形がほとんどです。サラブレッドは経済動物(産業動物)なので、一部の種牡馬や繁殖牝馬を除けば、引退後にお金を生み出すことができません。こうした馬たちにいかに幸せな“サードキャリア”を用意してあげられるか。そういう意味でも私たちの活動は重要だと思っています」
「ウマ娘」ファンからも熱い注目
引退馬牧場としての自立化を図り、さらに引退馬事業のモデルを構築するため、同牧場はさまざまな活動を行っています。その活動の1つが、馬たちを支援する3段階の「マンスリーサポーター」。5月18日現在で513人のサポーターが1人あたり月額2000円~1万円を出資し、引退馬たちの養生費に充てています。
また馬のプラセンタ(胎盤)を利用した美容液などオリジナルグッズも作成。この売り上げも引退馬に還元されています。
さらに、「もっと身近に馬を見られる場所があればいいのに」という岩崎さんの思いから、牧場内に余っていた建物をホテルとしてリノベーションしました。1人1泊1万円(1部屋最大4人)の部屋は予約が殺到。ホテルにはカフェも併設し、4~5月の大型連休中は約1500人ものファンが詰めかける大盛況だったそうです。今後はトレーラーを改造した移動型の宿泊所も設置予定で、多くのファンから注目を集めています。
こうした活動の詳細は同牧場の公式ウェブサイトに掲載されています。活動を続ける岩崎さんは最近、驚くことがあったそう。それは大人気スマートフォン向けゲームアプリ「ウマ娘プリティーダービー」のファンからの問い合わせです。
「引退馬の余生を支援するという形態はまだ世間の認知度が低いのですが、ここにいるタニノギムレットが『ウマ娘』のキャラクターになることが発表され、今はどこにいるのかと探したファンの方から当牧場に問い合わせがありました。『ウマ娘』の影響力の大きさに驚きながらも、こういう方々にも引退馬のことをもっと知ってもらえたらうれしいですね」
(Hint-Pot編集部・瀬谷 宏)