「心情表現を考え、現実に近いスマホ画面になるように描写」

　多くの人の心を打ったハンカチさんの作品。完成までにはどんな苦労や思いがあったのでしょうか。

「写真を撮影してそれをもとに線画を起こし、模写をするという手順で、完成までには7時間ほどかかったと思います。スマホの下にある毛布のやわらかい質感を出すために描き込みすぎず、毛羽立った感じを演出するのに苦労しました」

　そして、今回の絵の完成度の高さを語る上で欠かせないのが、アプリ内に示された恋人同士の別れ話とも取れるやりとりの内容。ここにもハンカチさんのこだわりが詰まっています。

「（アプリの）タイムラインの時間設定などは心情表現に関わるので綿密に考え、現実に近いスマホ画面になるように描写しました。物事には人それぞれの事情があるということをイラストに込めました」

　今回、ハンカチさんはこの作品における思いや心情について、投稿時のコメント以外は語っていません。それでもスマホが置かれたシチュエーションだけで独自の世界観を表現することができるのも、やはりハンカチさんの画力の高さがなせる業。普段からどんなことを心がけて作品と向き合っているのでしょう。

「なるべく観察して、自分自身で納得できる理屈を考えながら描いています。描写力はただ何となく描くのではなく、なぜこの色になるのか、なぜこの形になっているのかを考察しながら描くと、自然と身についてくると思います」

　実はこの作品、相手側のスマホを描写した2枚組のイラストと「対」になっています。その作品もつなげてみると、さらに切ない心情に触れられるかもしれません。また、ハンカチさんのスーパーリアルな風景イラストはインスタグラム（kplanar_hankati）でも見ることができます。これからも圧倒的な画力と独特の世界観で多くの人を感動させてくれるでしょう。

（Hint-Pot編集部）