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保護犬譲渡会のはずが…違和感を描いた実体験漫画に6万人驚愕 「猫でも似た話が」
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「肝心の動物に目が向けられていないと感じてしまいました」
作者の安達さんに、譲渡会の会場の雰囲気や参加して抱いたイベントへの感想など、詳しいお話を伺いました。
Q. 譲渡会の会場はどのような雰囲気でしたか?
「予約制でしたが、参加の枠が空いていたので飛び入りでも見学できました。それがいざ参加してみると、会場にいたのは私たちだけでした。また、会場にいた犬はみんな純血種で雑種犬がいませんでした。会場は清潔で、犬は1匹ずつケージに入れられていました。ただ、直接会えるのはそこにいた子たちだけです。また、ブリーダーの情報は非公開になっていたので、他の犬がどんな環境にいるのかは分かりません」
Q. 譲渡会で運命を感じたという犬の様子はいかがでしたか?
「他の元気そうな犬と違ってケージの隅に寝そべって動かなかったのですが、私が立ち去ろうとした時に起き上がってケージ越しにアピールしてきたんです。そこで『行かないで』と言われているようで保護欲が湧いてしまい、お迎えのつもりはなかったのに気の迷いが生じてしまいました」
Q. 今回の譲渡会にはどのような感想を抱きましたか?
「保護犬の譲渡活動を収益化することはボランティアさんに頼らない良い取り組みだと思いましたが、肝心の動物に目が向けられていないと感じてしまいました。私が運命を感じた犬も幸せになる権利はあるけれど、活動そのものに賛同できない団体へ寄付はできません。
寄付金をもらっているのに保護されている犬は避妊や去勢がされておらず、きちんと犬に還元されているのか疑問を抱きました。ただ、繁殖引退犬と家庭をつなげる活動自体は良い取り組みだと思います」
Q. ととちゃんをお迎えした経緯について教えてください。
「犬を飼うなら保護犬をお迎えしたいと里親サイトをずっと眺めていたところ、あるサイトでととちゃんの姿が目に留まりました。当時は作家としての活動が不安定で引き取ることができず、連載が決まり貯金もある程度用意できた1年後にお迎えを決めました。
最初にととちゃんと出会ったのは生後2か月のタイミングで、この時に噛むクセや他の犬との社会性にも問題があることが分かりました。トライアルなしで保健所から引き取ったのですが、今振り返るとかなり無謀だったと思います。それでも我が家は夫婦ともに時間の融通が効くこと、在宅でずっと一緒にいられること、良いトレーナーさんを見つけられたことでそうした問題を乗り越えられました」
Q. ととちゃんとの生活ではどういったことを大切にしていますか?
「ととちゃんは噛みグセのある子でした。ただこれは、攻撃衝動を抑えられない時に自分を守ろうとすることが理由だと分かったので、ととちゃんが怖いと思う機会を減らそうと家族で工夫しました。特に夜は警戒心が高まっていましたから、時間帯によってはととちゃんに近寄らないようにしたんです。そうした工夫を家族で徹底したことで、今は一緒に問題なく暮らせています」
Q. これから保護犬をお迎えしようと思っている方へお伝えしたいことを教えてください。
「トライアルは、人間が好きなだけかわいがって“気に入らなければ返品できるお試し期間”ではなく、潜在的な心の問題を抱えているかもしれない犬の家庭や、先住犬との相性など、犬のためのものだと思っています」
Q. 心に残った読者の感想があれば教えてください。
「『私たちは保護犬が欲しいのではない、保護犬がいない未来が欲しい』という言葉にたくさん共感していただけました。『保護犬がいい、保護犬が欲しい』と人間が望むことが優先されると、保護犬が供給され続ける事態になってしまわないかと危惧してしまいます。保護犬はなくなるべきものという前提条件を、動物に関わる人間みんなで共有できたらと思います」
(Hint-Pot編集部)