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結婚式の日に愛犬が行方不明…初夜を車中泊にして懸命の捜索 英国の愛犬魂に共感の声
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日本では近年、飼い主の結婚式に出席する愛犬が注目を集めている。中でも結婚指輪を運ぶ「リングドッグ」は見た目の華やかさもあって、SNSで話題になることが多い。しかし英国では、飼い主の挙式中に脱走したコッカースパニエルの子犬がちょっとしたニュースになった。カップルが初夜を“車中泊”にして捜索にあたったという顛末に、愛犬家から称賛の声が上がっている。
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和やかな結婚式が一転 出席者の8割はそのまま愛犬の捜索隊に変身
英国といえば、コーギーを愛するエリザベス女王の影響もあって愛犬家が多いイメージがある。獣医師慈善団体「Saving Pets Changing Lives」の最新調査(2021年度)によると、同国では成人の51%がペットを飼育。その数は猫が1070万匹、犬が960万匹(頭)だが、飼い主の人数は犬が上回っているそうだ。
生後8か月を迎えたコッカースパニエルの子犬「クラッシュ」くんも、そんな英国在住ペットの1匹。しかし現地時間5月14日に起こした“行方不明事件”によって、世界にその名を知られることになった。
飼い主のダニエル・マンディさんとレイチェルさんはこの日、イングランド地方ラトランド州の州都オーカムで結婚式を挙げ、晴れて“マンディ夫妻”になった。しかしそこに飛び込んできたのは、クラッシュくんがペットシッターとの散歩中に逃げ出したという知らせだ。
実はこの直前、メイド・オブ・オナー(花嫁に付き添うブライズメイドの代表)の家族が電話で“事件”を伝えられており、1時間ほど捜索していた。そしてついに事件を知った夫妻は結婚式後のパーティーを切り上げ、出席者とともに愛犬の大捜索を開始。レイチェルさんによると「ついに彼らが私たちにそのことを話した後、パーティー出席者の8割はすぐにクラッシュを探している状態になった」という。
レイチェルさんはウェディングドレスから着替えたが、出席者たちはパーティーウェアのままで“捜索隊”に変身。当日の天候は雨という不運をものともせず、一同は懸命にクラッシュくんの名前を呼び続けた。しかし、どうやらそれが逆にクラッシュくんを怖がらせてしまったようで、日没までに発見することはできなかった。
車中泊を経て翌日はドローンも登場 大捜索は無事にハッピーエンド
夫妻はやむを得ず、初夜の車中泊を決断。その間に出席者は帰宅したが、夫妻は夜明けを待って捜索を再開した。「私は『結婚式の日をこんな風に過ごすべきではない』と思いました。すべてがとてもシュールでしたね」と、レイチェルさんはその時の心境を語っている。
とはいえ、愛犬のためにも捜索を諦めるわけにはいかない。そこで捜索隊に加わったのは、フェイスブック投稿でこの件を知った数十人の親切な人たちや別のシッターだった。このシッターがドローンを使ってペットを捜索するボランティアの協力を提案したため、捜索活動は大きく前進する。
到着したボランティアの男性がドローンで2分ほど周辺をチェックしたところ、クラッシュくんの姿を発見。最後はレイチェルさんの義父が車に乗せて保護し、夜を挟んで28時間に及んだ大捜索はようやく終わりを迎えた。
新婚初夜はまさかの車中泊になってしまったが、夫妻にとっては大団円。ちなみに新郎のダニエルさんは、結婚式の服装のままで捜索を続けていたが、「私たちは最悪の事態を恐れ、本当に怖い思いをしていました。助けに来てくれたすべての人にとても感謝しています」と語っている。
このニュースは英米など世界のメディアで報じられ、愛犬家の注目を集めた。英大衆紙「デイリー・メール」の電子版が掲載した記事には、「あまりにも正しい……犬は家族の一員です……」「ほとんどの飼い主は同じことをすると思う」「ああ、それは素敵(なこと)です! 彼らは素敵な人のようですね。それと、おめでとうございます!」と夫妻の行動に共感する声が寄せられている。
また、「このような話が増えて、ぞっとするような有名人についての話が減れば、私たちすべてがうまくいくでしょう。リアルな生活を送っているのはこうした人々なのです」と、心温まるニュース自体に対する賛辞もあった。
(Hint-Pot編集部)