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シソを薬味だけに使うのは損 暑い季節こそ活用したい理由とは 長く保たせる方法も
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教えてくれた人:和漢 歩実
さわやかな清涼感ある香りが魅力のシソ。ジメジメとした梅雨や暑い季節は、そうめんなどの薬味として使うことが多いでしょう。現在は温室栽培で通年出回り、いつも新鮮なものを購入できますが、本来の旬は初夏から夏にかけてです。大葉とも呼ばれる青ジソについて、栄養士の和漢歩実さんにお話を伺いました。
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古くから日本で用いられてきた“和ハーブ”
シソは日本人との歴史がとても古く、縄文時代の遺跡から種実が出土しています。栽培が始まったのは平安時代。元々は薬や漬物に用いられたと伝えられており、“和ハーブ”の代表といっても良いでしょう。
多くの品種がありますが、食用として知られているのは赤紫色の赤ジソと緑色の青ジソ。漢字で書くと「紫蘇」であることから、本来は赤ジソを指していたようです。赤ジソは梅干し漬けの色付けに今でも欠かせないもの。一方で青ジソは赤ジソの変種ですが、栄養価にさほど違いはありません。
シソの旬は6月頃から7月頃。梅の実が熟して、梅干し漬けの仕込みが始まる時期とちょうど同じです。葉の部分だけではなく、芽や実も食用になります。刺身のつまなどで用いられるのは、花穂が実になった部分「穂ジソ」。また、青ジソの葉のことを「大葉」と言います。
ビタミンやミネラルが豊富 抗菌作用や防腐効果も
シソの栄養にはどのようなものがあるのでしょうか。日本食品標準成分表2020年版(八訂)の数値を参考にすると、ビタミンやミネラルが多く含まれていることが分かります。特にβカロテンと骨の強化に役立つカルシウムの多さが特徴です。βカロテンは、必要時に体内でビタミンAに変わります。そのビタミンAは、皮膚や粘膜を強くして免疫力をアップさせる効果が期待できる他、目の健康にも欠かせません。
またシソはポリフェノールの一種、香り成分のぺリルアルデヒドを含むため、抗菌作用や防腐効果、食欲を増進させる効果があるといわれています。刺身のツマとして有名ですが、ぜひお弁当にも。暑さによる夏バテや食中毒が気になる季節に活用したい食材です。
シソは鮮度が落ちやすい 保存は乾燥に気を付ける
赤ジソの一般的な楽しみ方に「シソシロップ」があります。水や炭酸、牛乳、豆乳で割って飲むと、暑さが気になるこれからの季節にぴったりです。日持ちもするので、旬の赤ジソが大量に手に入った時は、手作りするのも良いですね。
【シソシロップのレシピ】
1. 沸騰した湯に洗った赤ジソを入れて5分ほど加熱する
2. 1をこした液に砂糖を加え煮溶かす
3. レモン汁を加えて完成
青ジソが大量にある時は、しょうゆと煮切ったみりん、ごま油を混ぜた調味液に漬けておくと便利。ごはんのおともや冷ややっこのトッピングなどに使えます。
生のシソは鮮度が落ちると香りが落ちます。また、保存の際は乾燥に気をつけましょう。使い切れない場合は、水で湿らせたキッチンペーパーに一枚ずつはさみ、密封容器やポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。比較的長く保たせることができます。また軸部分を少しカットして、水を入れた瓶に立てて入れて水に軸を浸し、ふた(食品用ラップ)をして冷蔵庫に保存すると良いでしょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾