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「梅雨入り」と「入梅」は別物? “梅”の字が使われる理由 難読名字「栗花落」の意味は

著者:鶴丸 和子

梅雨の季節(写真はイメージ)【写真:写真AC】
梅雨の季節(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 梅雨の季節を迎えます。メディアからは「梅雨入り」という言葉が聞こえてきますが、カレンダーなどで見る「入梅(にゅうばい)」とは何が違うのでしょうか? またこの時期の雨はなぜ「梅雨」と書くのでしょうか。日本人が季節の移ろいの目安としてきた暦から、その理由をご紹介しましょう。

 ◇ ◇ ◇

梅の実が熟して潰れる頃 カビが生えやすいことが由来?

 梅雨とは、本格的な夏を迎える前に雨や曇りの日が多くなる現象のこと。現在は各地の気象台から「梅雨入り」として発表されます。元々、古代中国で梅の実が熟す頃を「梅雨(めいゆ)」と呼んでいたことが、日本に伝わったようです。

「つゆ」という読み方には、雨の「露」に由来するというものや、梅の実が熟して潰れる季節であることから「潰ゆ」と呼ばれることが関係しているというものなど、さまざまな説があるそうです。

「栗花落」と書いて「つゆり、ついり」と読むのは、栗の花が落ちる頃に梅雨入りすることが関係しています。難読名字とされ、人気漫画「鬼滅の刃」の登場人物にも用いられていましたね。

 また諸説ありますが、梅雨に「梅」の字が使われるようになったのは、梅の実が収穫される頃と重なったからとみられています。この時期は雨が続いて湿気が高く「黴(カビ)」が生えやすいことから、元々は「黴雨(ばいう)」と名付けられていたようです。それが次第に、この時期に旬を迎えることから「梅」の字が使われるようになり「梅雨」になったといわれています。

暦の上での梅雨入り 雑節の入梅

入梅の頃はマイワシがおいしい季節(写真はイメージ)【写真:写真AC】
入梅の頃はマイワシがおいしい季節(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「入梅」も梅雨入りを意味する言葉ですが、こちらは暦の上での記述となります。「節分」や「彼岸」、「土用」、「八十八夜」などと同じく、季節の移り変わりを知るために補助的に作られた「雑節」と呼ばれる日本独自の暦です。

 また、「入梅」は二十四節気の「芒種」に入って最初の壬(みずのえ)の日とされてきましたが、現在は太陽黄経80度の日です。2022年は6月11日。暦の上での「梅雨入り」であり、実際の気象上の梅雨入りとは異なります。

 入梅の頃に水揚げされたマイワシは「入梅イワシ」と呼ばれています。6~7月のマイワシは、産卵前で丸みを帯びて脂がのっていておいしいことから、季節物としてそう呼ばれるようになりました。梅を使ったイワシ料理のことではありませんが、その名にかけて梅肉や梅酢と一緒にいただくことも多いでしょう。新鮮なものは刺身にすると美味です。

 梅干し作りはもちろん、旬のらっきょうや新ショウガの甘酢漬けなど、この時期ならではの保存食作りも古くから伝わっています。ジメジメとした時期ですが、季節の恵みを感じながら気持ちの上ではさわやかに過ごしたいですね。

【参考】
農林水産省「入梅の時季とそのいわれについて教えてください」
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1905/02.html
国立天文台「暦Wiki」
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/
「日本の365日を愛おしむ-季節を感じる暮らしの暦―」本間美加子著(飛鳥新社)
「日本のしきたりがまるごとわかる本」(晋遊舎)
「365日を豊かに過ごす 日本の四季、二十四節気、七十二候」(宝島社)

(鶴丸 和子)

鶴丸 和子(つるまる・かずこ)

和文化・暦研究家。留学先の英国で、社会言語・文化学を学んだのをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。
インスタグラム:tsurumarukazu

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