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いなり寿司の形は東と西で違う? 2月の「初午」に食べる理由 お稲荷さんとの関係は
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「初午(はつうま)」とは、一般的に2月最初の「午の日」をいいます。2023年は2月5日です。この日は五穀豊穣や商売繁盛などを祈願して、各地の稲荷神社に参拝したり、キツネの好物とされる油揚げを使ったいなり寿司などを食べたりする風習があります。意外と知らない初午の意味やいなり寿司との関係について紹介しましょう。
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初午と稲荷神 由来や意味
「お稲荷さん」と呼ばれ、古くから日本人に親しまれてきた稲荷神。諸説ありますが、「いなり」の語源は「稲がなる(稲生り)」ことを意味することから、農業や商業の神様として親しまれてきました。
初午の由来は、稲荷大神が稲荷山に鎮座した日が2月の初午の日だったことから。京都の「伏見稲荷大社」(京都市伏見区)を本社として、各地の稲荷神社に参拝をする「初午」の風習が各地で始まったとされています。豊作や商売繁盛を祈願する「福参り」や「初午詣」とも呼ばれているそうです。
ちなみに、初午の日は固定ではなく、その年によって変わります。昔は日付を十二支(子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥)で一巡させ、「卯の日」や「午の日」としていたことに関係していることからです。
そのため、2023年の2月最初の午の日(初午)は2月5日ですが、2024年は2月12日に。また地方によっては旧暦で行ったり、2月の2回目の午の日(二の午)、3回目(三の午)にも祭礼を催したりします。
いなり寿司を食べる理由とは 形に決まりはあるの?
稲荷神社といえばキツネの像でもおなじみですね。そのため、お稲荷さんと聞いてキツネをイメージするかもしれませんが、キツネは稲荷神のおつかいです。キツネが選ばれたのは、稲荷神が農業の神様として里で守ってくれる時期と、キツネが人里に姿を見せる時期を重ねたことが由来しているといわれています。
古来日本では、春になると山から里に降りた「山の神」が「田の神」となって稲作を見守り、収穫を見終えてから再び山に戻ると信じられてきました。また、キツネが人里に姿を見せる時期は、農事の始まる初午の頃から収穫の終わる秋まで。このことから、「田の神」「山の神」の使いとされたのです。
神の使いであるキツネの好物が「油揚げ」と考えられていたので、お稲荷さんにお供えされました。そしていつしか、稲荷神のおかげでもたらされたお米を用いた「いなり寿司」が出現。初午に食べる習わしが広まっていったようです。
いなり寿司の発祥や由来は諸説ありますが、江戸時代後半には「あぶらげずし」などとして存在していたとみられています。形や具材、味付けなどには地域性があり、初午に食べるいなり寿司は特に決まりがありません。