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安倍元首相の銃撃映像で心の不調を感じる…精神科医が警鐘 「1人で抱え込まないで」
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教えてくれた人:木村 好珠
日本に衝撃を与えた安倍晋三元首相の銃撃事件。事件の重さや治安に対する不安、銃撃の瞬間を伝える映像や画像を繰り返し目にしたことなどで、メンタル面の不調を訴える人も出てきているようです。2011年3月11日に発生した東日本大震災でも、津波の映像などによる同じような不調を訴える声がありました。そこで精神科医の木村好珠(きむら・このみ)医師は、不調を感じた人々に「1人で抱え込まないで」と呼びかけています。対処法などについて、詳しくお話を伺いました。
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TBS安住紳一郎アナは「見るのがつらい人は無理しないで」
――言葉にならないほどの衝撃的な事件が起こりました。元首相が公衆の面前で撃たれるという事実に大きなショックを受け、心身の不調を感じている人もいます。
私自身も大きな衝撃を受けました。日本でこのような事件が起きた事実はとても重く、今後の治安に対して不安を抱いてしまいます。コロナ禍になって海外ではDVが増えたとされていますが、この事件を契機に人々の焦燥感が増し、攻撃性を高める危うさもあります。
――テレビやネット上では銃撃の瞬間を伝える映像が流れ、新聞や雑誌には元首相が倒れている写真も掲載されました。それを見てショックを受けた人もいます。
そうした報道を避け切れない部分はありますが、最初に見て抵抗感を覚えた方は、事件に関する情報に接触する回数を減らしてください。
――9日放送の「情報7days ニュースキャスター」(TBS系)では、冒頭に安住紳一郎アナウンサーが「見るのがつらい人は無理しないでください」と呼びかけました。
とても大事な呼びかけだと思います。メディア側には事実を伝える使命があるとは思いますが、東日本大震災の時と同様に、一定の期間が過ぎた後はあまりにショッキングな映像を繰り返し流さないなどの配慮が必要に感じます。
――事件の現場に居合わせた方の健康状態も心配です。
はい。人が目の前で撃たれるということに対しての防御策はありませんし、受けたショックは凄まじいものです。人によってはPTSD(心的外傷後ストレス障害)につながる恐れもあります。その記憶がフラッシュバックのように思い出されたり、悪夢を見たりすることが続く状態です。
そうした場合は、まず精神科医やメンタルクリニックで診断を受けられることをおすすめします。PTSDも早期治療が一番大事であり、放置しておくと長く苦しむことにもなります。