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実録・職場へのお土産問題 “同調圧力”でモヤモヤする「風習」を破った30代女性の思い
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出費がかさみ決意 お土産交換をやんわりと拒否
「ある年のお盆休みのときに、私は思い切って全部バラまきお菓子に戻してみたんです。人によっては、毎回1万円近くを職場のお土産代にあてていたそうで、『わたしもバラまきに戻したい』とこっそりと喜んでくれる人もいました。でも私のこのやり方に、納得いかない人がいたようなんです。一番このお土産習慣が気に入っていたA先輩でした」
A先輩は、女性社員の中で一番の年長者。そのため、女性社員それぞれからお土産は誰よりもいいものを渡されていたはずだと、恵美さんはいいます。バラまきお菓子にした恵美さんの行動を、A先輩は許せなかったのでしょう。先輩から恵美さんに直接何か言うことはなかったそうなのですが、お盆休みが開けて10日ほどが経った頃、他の社員からこんな忠告を受けたそうです。
「A先輩が私のことを陰で『ケチ』だと言っていたんだそうです。さらに『空気が読めていない』とも。だから、今回はもう仕方がないけど、次はまた個々のお土産を買ってきたほうがいいかもと言われました」
結局、A先輩のごきげんを損ねたくない思いからか、お土産をバラまきお菓子に戻す女性社員は現れませんでした。A先輩から面と向かって嫌がらせを受けたといったことはなかったのですが、そんな“同調圧力”にうんざりした恵美さん。元々、社歴も7年を超え転職を考えていたこともあり、正月休みに入る前にその年の年内いっぱいで退職を決意したのだそう。最終出社日には、バラまきお菓子を用意しました。
「A先輩に『恵美ちゃんが選んだお菓子、前もおいしかったわよ』と言われ、嫌味を言われたのかなとカチンときました。そこで私は、最後の挨拶の際、社長に悪しき習慣である個々へのお土産文化が嫌だったこと、禁止すべきだということをこっそりと伝えました」
恵美さんの退職後、その職場ではバラまきのお菓子すらも禁止にし、個々でのお土産のやりとりは個人的に社外で行うよう通達されたと、元同僚から連絡がきました。
「変な風習が、きれいさっぱりなくなって、良かったと感じました。一番得していたのはA先輩だったと思うので、正直、ざまあみろとちょっと思いますね。ただ、それ以外はとても雰囲気のいい職場だったので、残念ではありますけど……」
古き良き日本のお土産文化。しかし、ちょっとしたことで、煩わしい慣習になってしまう一面も。お土産はあくまでもそれぞれの人の心遣いであることを忘れず、誰もが気持ちよくやりとりし合えるように考えなければならないと、恵美さんは真剣な顔で話すのでした。
(Hint-Pot編集部)