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38歳で乳がんに罹患した女性 仕事はどうすれば? 気になる出費や保険のこと
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まさに「いざという時」に役立った保険
医療保険の必要性については、本当に賛否両論。考え方はそれぞれですが、私は昔入った医療保険とがん保険に助けられました。
29歳の時、それまで親が入ってくれていた保険が切れたので、何気なく保険相談に行ったのが入ったきっかけでした。入院と手術のサポートになる最低限の医療保険だけのつもりでしたが、「がん保険は入っておけば大丈夫! という願かけみたいなところもありますよ」という売り文句に、妙に納得してがん保険にも入りました。年齢を重ねればトータルで支払う金額は多くなるけれど今なら月額の保険料は安く済むし、母ががんで他界していたこともあって安心を買うと考えればいいと思ったのです。
当時、おすすめされた「がんと診断されたら一時金」「がんと診断されたら以後の保険料の支払いが免除」という商品に加入。その後、その保険商品は売り止めになって別の商品に切り替わっており、今の年齢で同じ条件で加入しようとすると掛け金は約4倍にもなっていました。また、偶然にも医療保険の方もがんなどの生活習慣病と診断されると、以後の保険料の支払いが免除になる商品で、結果的に安心できることに。
フリーランスは有給休暇や休職制度、傷病手当などもありません。契約当時は病気にならないことを前提で、まさに「保険」のために入っていたものですが、大いにその役割を果たしてくれました。
治療費以外の細かい出費は意外と多い
治療費というと、検査、入院、治療、薬がメインですが、実はそれ以外の細かい出費や関連した費用が多いのが実態です。私は乳がんと診断されてから食生活を大きく変えたので、単純に食費がかかるようになりました。
脱ぎ着が楽な前開きの下着やパジャマ、術後の保湿ケア用品や傷口用のテープ、脱毛する頭皮専用のシャンプー。その他、体をメンテナンスするための鍼灸、脱毛に備えて帽子やターバン、ウィッグ。薬の影響で体温のコントロールがうまくできないため、それまでなかった部屋へのエアコン設置は一番重要でした。
こうした「直接の治療費ではないけれど、療養には欠かせない出費」というのが意外とあります。そのため、がん保険で「項目ごとの保険金」ではなく「一時金」という制度はとてもありがたいものでした。
保険がなくても高額医療費を申請できる
保険に入っていなくても、公的医療保険で一定額以上の高額な医療費を支払った際には払い戻しが受けられる「高額療養費制度」があります。一時的には支払いが必要であっても、実際の自己負担額はそこまで大きくはなりません。私はあらかじめ医療機関に「限度額適用認定証」を提出したため、窓口での支払いも限度額内で済みました。
職業的に在宅やリモートが難しい職種もたくさんありますが、それでも今は働き方の選択肢が広がっている時代です。自分の体調を優先にして治療しながらでも働けるスタイルを、今後も模索し続けたいと思っています。
(島田 みゆ)
島田 みゆ(しまだ・みゆ)
1983年生まれ。社会人教育関係の会社で企画編集として11年勤めたのち、旅や食分野のライター、ヨガ講師、海外ツアーコンダクターの複業フリーランスに。コロナ禍で旅行の仕事が休業状態になり、好きな旅行ができないのであればと2022年からの海外生活を見据えていた矢先、38歳で乳がんが判明。3月に右胸全摘出手術を終え、現在も治療を続けながら、自身の経験を踏まえて多くの女性の心と体を健康に役立つ発信・活動をしたいと考えている。
ツイッター:@myuu_works
note:島田みゆ | 取材ライター×ヨガ講師×海外ツアコン