いよいよ迎えた手術当日　緊張はピークに

　いよいよ手術当日。朝食がないため、呼ばれるまでは意外と時間を持て余し、シャワーを浴びることにしました。意外にもそんなことをする余裕があります。右胸を全摘する前の姿はこれが最後……とは言っても、さほどしんみりすることはなく、これで見納め！　とどことなく自分の体に感謝する気持ちでした。

　その後、手術用のガウンを着用。脚には着圧ソックスのような靴下を履きます。全身麻酔で眠っている間に脚がむくむのを防止するためで、マッサージ機のような機械になる場合も。どちらかは当日まで分からなかったのですが、靴下に決定したようでした。

　自分ではまったく緊張しているつもりはなかったのですが、ここでも私特有の気持ちと体の乖離現象が明らかに。37度の微熱と血圧130以上という緊張っぷり。看護師さんも「緊張してます？　そりゃぁ緊張しますよねぇ」と優しい言葉をかけてくれました。

手術室へのエレベーターで一瞬の再会　エールをもらえた数分

　予定より少し早い11時30分頃に呼び出しがかかり、ついに手術室へ向かう時が来ました。ドラマのようにストレッチャーやベッドでガラガラ……ではなく、体は元気なので点滴スタンドをガラガラ引っ張りながら、手術室まで自分の足で向かいます。

　手術当日の面会はコロナ禍のため家族1人のみ。この日も叔母に来てもらうことにしていましたが、病室では会えません。私が病棟の入り口を出てからようやく再会です。ただし、話せるのは手術室まで向かうエレベーターの中だけ、ほんの2～3分。

　あっという間に手術室のフロアに到着し、そこでいったんお別れです。私は「また後でね」と伝え、きっとすぐ会えると思いながら手術室の中に入っていきました。

　手術当日も無意識のうちに、かなり緊張していました。そんな時、たとえ短い時間でも付き添ってくれたこと、目覚めて戻ってきたら待っていてくれる人がいるということが、どれだけ安心できる要素や力になったかは計り知れないものがあります。

（島田 みゆ）

島田 みゆ（しまだ・みゆ）

1983年生まれ。社会人教育関係の会社で企画編集として11年勤めたのち、旅や食分野のライター、ヨガ講師、海外ツアーコンダクターの複業フリーランスに。コロナ禍で旅行の仕事が休業状態になり、好きな旅行ができないのであればと2022年からの海外生活を見据えていた矢先、38歳で乳がんが判明。3月に右胸全摘出手術を終え、現在も治療を続けながら、自身の経験を踏まえて多くの女性の心と体を健康に役立つ発信・活動をしたいと考えている。
ツイッター：@myuu_works
note：島田みゆ | 取材ライター×ヨガ講師×海外ツアコン