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ギャップがすごすぎる女性画家 作品に込めた思いに12万人感動「かっこよくて好き」
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「画風と作者のギャップ選手権あったらいい線いけると思うんよね」。そんなユニークな一言が添えられた1枚の写真がツイッター上で大きな注目を集めています。素朴で風情が漂う町をバックに、笑顔を向ける2人の少年。その前には、3本の絵筆を持った女性が座っています。何と女性の後ろにあるのは、この女性が描いた油絵。まるで写真にも見える緻密に描き込まれた絵画に多くの人が驚きの声を上げています。作品や制作活動について、作者のあおいけい(@Abspko)さんに詳しいお話を伺いました。
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故郷の思い出と子育て…人生をもう一度なぞるかのような感覚で制作
現在28歳のあおいさんは、15歳の頃から独学で絵を描き始めました。毎年の個展以外にも、アラブ首長国連邦・ドバイでのアートフェスや仏パリでのアートショップなど、今年はすでに2回も海外のアートイベントに出展しています。
このほど話題になったのは、写実絵画専門美術館の「ホキ美術館」(千葉県千葉市)が主催する「ホキ美術館大賞」の2次審査に出展予定の作品。8月下旬が締め切りのため、急ピッチで描き込みを続けています。
どこか懐かしさを感じる山間の町の風景や、無邪気な笑顔を見せて並ぶ兄弟がとても印象的な作品です。ここに描かれているのは、あおいさんにとってとても大切な場所と少年たちなのだそう。
「大きな絵を描くのはこれが初めてだったので、特別なものにしたくて、私の生まれ育った場所を選びました。絵画の中で笑っているのは、私の息子たちです。出産して母になってから、子どもたちの成長と過去の自分を重ねることが増えました。『自分がこのくらいの年の頃はこうだったなぁ』と人生をもう一度なぞるかのような感覚があります。この絵には、私の人生を詰め込んでいます」
作品のタイトルは「時はゆるやかに」 泣きながら描き込んだ日も
制作の参考にしたのは、実際の場所で息子さんたちを撮影した何枚かの写真。頭の中でさまざまな要素を組み合わせながら制作しています。
また、こだわりは作品内の消失点にも。向かって左側に立っている長男の目の高さに合わせることで、過去の自分が見ているかのように感じさせる効果を狙っています。
「この地で産まれ、家族、友達に愛されたこと。この地を離れ、家族のもとからも離れたこと。もう戻ることのない思い出がよみがえります。加えて、子どもたちの物語もすでに始まっています。“時はゆるやかに”しかし確実にすべてを変化させながららせんを描き流れてゆく。そんな思いを描いた絵です」
自身の原点であり思い出深い場所、そして静かに流れる時間。それらを見事に対比させたこの作品は、「時はゆるやかに」と名付けられています。
「主役は子どもたちですが、この場所は私にとってとても思い入れのある土地。すべてのものに神が宿ると思いながら一つひとつを丁寧に描いています。特に大変だったのは、アスファルトです。何時間もずっとてんてんと点を打って『何か分からんけど頑張っとるなぁ、自分』と思って泣きながら描いた日もありました(笑)」