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英国イングランドで深刻な水不足 水道会社が“ホース使用禁止”を発表 どんな内容?

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

水不足が深刻な英国では、ホースパイプの使用が禁止される地域も(写真はイメージ)【写真:写真AC】
水不足が深刻な英国では、ホースパイプの使用が禁止される地域も(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 北半球で多くの国が熱波に襲われている今夏、英国では水不足が深刻化。同国の環境省は現地時間12日、イングランド南西部と南部、中央部などでの干ばつを宣言しました。これを受けて、イングランドの民間大手水道会社は24日からのホースパイプの使用禁止を発表しました。他の地域でも実施されているこの措置、一体どのような内容なのでしょうか。

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「前例にない天候条件」を理由にホースを使った水道の使用を禁止

 日本では今年4月、宮城県が水道事業の運営主体を民間企業に切り替えたことが大きなニュースになりました。しかし、他の地域は各自治体の地方公共企業である水道局が運営と供給を行っています。

 一方、英国では国営事業の民営化が進んだサッチャー政権下で水道事業はその対象の一つとなり、イングランドとウェールズで完全民営化。政府が水質や環境、料金などの規制当局を置き、その下に水道会社があるというシステムが採用されています。

 今回ホースパイプの使用禁止を発表したのは、ロンドンを含むテムズ川流域で約1500万人にサービスを提供しているテムズ・ウォーター社。その内容は「前例にない天候条件」を理由に、24日からホースを使った水道の使用を禁止するというものです。過去には2006年などにも、渇水時に庭などでのホース管を用いた水の使用を禁止しました。

 イングランドでは先に、南部のサザン・ウォーター社と南西部のサウス・イーストウォーター社もホースパイプの使用禁止を発表。水道会社がこぞって発表したこの措置について、英ニュース専門局「スカイ・ニュース」は市民が“やってはいけないこと”を解説しています。

 ウェブ版の記事によると、禁止されるのは排水管に接続されているホースパイプの使用。そのため行為としては、家庭用のプールやスイミングプールや池を水で満たすこと、個人が所有する建物の窓や壁、パティオなどの掃除、噴水の使用などが挙げられるそうです。

 ホースを使って自家用車を洗車することについても、特集は「NOです」と明確に回答。サウスイースト・ウォーター社は庭のスプリンクラー、庭の自動灌水システムのみならず、高圧洗浄機の使用も禁止対象と説明しているそうです。テムズ・ウォーター社も同様としており、公式ウェブサイトでは、以下の具体的な禁止事項を公開しています。

・庭やアロットメント(市民農園に相当)または植物に水をまく
・パドリングプール、スイミングプール、ホットタブ(野外浴槽)の充填または維持
・洗車
・窓、壁、小道、パティオ、人工芝などの人工屋外表面の清掃
・水鉄砲やウォータースライドなどのレクリエーション用途

 ただし、いくつかの免除事項も。記事によると、人や動物の健康へのリスクを排除または最小限に抑えるためなど、健康上と安全上の理由でやむを得ず必要な場合です。ホースを使った車の洗車も「ビジネスとして」実施される場合はOKなのだそう。

 さらにテムズ・ウォーター社のウェブサイトでは、ブルーバッジ(身体障害者などに対する「駐車禁止除外指定車標章」にあたる)取得者や生活困難者のためのスキームに登録している場合、上記項目の一部が許可されます。

 7月には気温40度を記録し、8月も35~36度という記録的な暑さが続いている英国。長期予報によると、8月後半は広範囲で雨が予測され、南部はまだ暑さが続くそうです。人々の生活はしばらく大きな制限を受けることになるかもしれません。

(Hint-Pot編集部)