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香港の水上レストランは“沈没”か“転覆”か それでも“沈没エンド不可避”の事情とは
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突然の“休業”から復活に向けた模索、香港外への移転、そして衝撃の“沈没”と、まさに荒波に揉まれた香港の有名水上レストラン「ジャンボ・フローティング・レストラン(珍寶海鮮舫)」。“沈没”が発表された20日夜からは、「尋常ではない航路」に関する報道など数々の疑惑が噴出し、まさかのサスペンス展開に突入した。そこに続いたのは、“沈没”ではなく“転覆”という驚きの逆転展開。だが、それでも沈没エンドは不可避の状況だという。「ジャンボ」に一体何が起こっているのか、ファンもまた“波”に翻弄される日々が続いている。
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「“沈没”という言葉は適していない」と広報担当者
20日夜から始まった「ジャンボ」の“沈没”と“疑惑”報道は、ファンの心まで海の奥深くに沈めてしまった。だが事態は急展開し、現在は“まだ”沈没していないという。ファンの心は一気に海面まで浮上したが、どうやらこれで一安心とはいかないようだ。
急展開の経緯には、香港海事処(海事局に相当)が運営企業に要求していた書面による報告書の提出がある。これが23日に提出されたことから、海事処はその内容を受けて同日夜にプレスリリースを発行。「ジャンボ」は18日夜に悪天候により“転覆”し、遠洋曳航船とともに海域に残っているという内容だった。また、船主は引き続き対応を続けるとしている。
24日には、運営企業の広報担当者が「“沈没”という言葉は適していない」などと発言した。20日に運営企業が発表したプレスリリースでは確かに“沈没”という言葉は使われず、「完全に水が入ってひっくり返った」とされている。
しかし、地元メディア各社が早合点したと責めるのも酷といえるだろう。それは、救出困難の根拠が1000メートルの水深とされていたからということもある。また、香港の無料朝刊紙「am730」の記事はこの表現がいつの状況を指しているのか不明という曖昧さに触れた。
ちなみに、匿名の元海事処職員は香港の英字紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」に対して「我々にとって“転覆”と“沈没”に大きな違いはない」とコメント。「ジャンボ」の構造からすると復活は困難という見解を述べている。また、広報担当者は水深を救助困難の根拠に挙げた理由や「ジャンボ」の正確な位置などは回答を避けたという。
海事処は“沈没”報道の直後からメディアに対し、船主に報告書の提出を要請するとコメント。23日夜のプレスリリースでも“沈没”報道を知り即時に要請と言及しており、情報が錯綜している舞台裏を感じさせる。