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オーストラリアの自然災害 山火事が最も恐ろしい理由とは
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日本人のワーキングホリデー(ワーホリ)旅行者や留学生の人気渡航先で、気軽に海外生活を楽しめるオーストラリア。欧米諸国と比較して治安が良いことや、高い生活水準などがその理由です。とはいえ、暮らしの中でまったくリスクがないわけではありません。現地在住ジャーナリストの守屋太郎さんが、同国で暮らすためのノウハウなどを解説するこの連載。今回は注意すべき自然災害についてです。
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地震や津波の被害はほとんどない
先住民アボリジニがオーストラリアに渡ったといわれているのが4~5万年前。英国人フィリップ海軍大佐一行がシドニー湾付近で入植を開始したのが、230年余り前の1788年(日本の江戸時代後期)。オーストラリアは長い世界史の中だと非常に新しい国です。
ところが地質学的な観点で見ると、オーストラリア大陸はかつての「ゴンドワナ大陸」から分裂してできた地球上で最も古い大陸の一つです。長い年月にわたって雨と風で侵食された赤い平坦な荒野が続いていて、日本やニュージーランドのように活発な火山活動によって形成された変化に富んだ地形とはまったく異なります。
オーストラリア政府の研究機関「ジオサイエンス・オーストラリア」によると、国内では火山活動がほぼ停止していて、オーストラリア本土で、直近で火山が噴火したのは約6000年も前。定期的に海溝型地震を起こすプレート境界も近海には存在しません。
ただ、揺れをほとんど感じない小規模な地震は日常的に起きています。マグニチュード3以上の地震は年間平均100回、5以上は1~2年に約1回、6以上は10年に約1回の頻度で発生。1989年に東部の地方都市ニューキャッスルで発生したマグニチュード5.6の地震は、震源地が市街地だったため建物の倒壊で13人が犠牲になりました。これがオーストラリアで“最大規模”の地震災害となっています。
有感地震のほとんどは人が住んでいない遠隔地で起きています。一般的な日本人の滞在者がオーストラリアで地震や津波に遭遇する確率は極めて低いと言えるでしょう。