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引退馬タイキフォーチュン 夏バテ知らずの元気な29歳にファン歓喜「本当にきれいな目」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

オグリキャップのレコードに迫る快走は今も記憶に残る

 現役時代のハイライトは4歳の時にやってきました。1996年に行われた、記念すべき第1回NHKマイルカップです。4番人気ながら、馬場の真ん中から豪快に突き抜けました。

 レースぶりもさることながら、1分32.6秒のタイムに場内はどよめきました。このタイムは、当時の芝1600メートルのコースレコードに0.2秒差と迫るものでした。レコードホルダーは、1990年に全盛期だったあのオグリキャップ。人間なら高校生に例えられる4歳馬が叩き出した衝撃度は、凄まじいものでした。

 しかし、タイキフォーチュンはレコードの反動からかこのG1勝ちが、最後の勝ち星となりました。一世一代の大勝負に勝利した後、一種の燃え尽き症候群だったのかもしれません。翌1997年秋のジャパンカップ14着を最後に、現役を退きました。

早寝早起きがモットー 毎朝一番に放牧地へ

 現在は引退馬として穏やかな馬生を過ごしています。荒川さんによると、普段は恥ずかしがり屋のよう。

「年々ファンの方も増えている。牧場に会いに来てくれる方もいる。でも(フォーチュンは)シャイなんですよね」

 FP会員(フォスターペアレント会員。引退馬協会の活動を支える正会員で引退馬の里親制度)の数も増えているといいます。

「モットーは早寝早起き。午前3時半くらいには放牧地に行きたがり、牧場にいる馬の中で一番に放牧地へ行きます。そして、集牧(放牧地から厩舎へ戻る)は午後4時。午後6時にはウトウト。朝早く起きて、日没とともに寝る。それが“フォーチュンさん”です」

 サラブレッドとはいえ、元を辿れば野生の馬。日の出日の入りと同じリズムで活動するのは、本来の姿です。“フォーチュンさん”が第1回を制したNHKマイルCも2022年で第27回を数えます。3歳マイル王を決める舞台として完全に定着しました。

 当時としては破格だったタイキフォーチュンのタイムも2004年に塗り替えられ、現在のレースレコードは2010年にマークされた1分31.4秒です。日本競馬進歩の一翼を“高校生”として担ったタイキフォーチュンの偉業は、この先も語り継がれるはずです。

 本桐牧場のツイッターでは、頻繁に現在のタイキフォーチュンの様子がアップされているので、当時の姿と重ね合わせてみてはいかがでしょうか。

(Hint-Pot編集部)