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“第二の馬生”を歩むブラックホール 引退後の“初出陣”に反響 「希望の星」
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G1勝ちはなくても、懸命に走り抜く姿に胸を打たれる一頭がいます。ブラックホールはそんな馬なのかもしれません。2021年に競走登録を抹消された後、乗馬用の馬として“第二の馬生”を歩むと発表しました。そして突如、今年7月23日にツイッターアカウントを開設し、7月、3日間にわたって福島県で行われた祭典「相馬野馬追(そうまのまおい)」に参戦した様子を公開。大きな話題になっています。5歳を迎えた現在の様子について、担当者さんにお話を伺いました。
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競走馬を引退したブラックホールの姿が話題に
ブラックホールは現在、東北で元気に“第二の馬生”を歩んでいます。7月下旬には国の重要無形民俗文化財に指定されている祭典「相馬野馬追(そうまのまおい)」に参加。23日の出陣と24日のお行列に姿を見せ、白地に赤の旗印を差した騎馬武者を鞍上に闊歩しました。
ブラックホールのツイッター担当者さんは「現在は福島県でのんびり過ごしています。性格は温厚で人懐っこい。野馬追には初めての参加でしたが、基本的に落ち着いてお行列できました」と振り返ります。
ブラックホールの競走馬登録が抹消されたのは2021年3月。それから1年4か月ほど経過していますが、この日は「時々俊敏な動きを見せる場面もありましたね」と競走馬の本能を垣間見せたことも明かしています。
ツイッターには「今日の御役目ご苦労様でした!」というメッセージとともに、お行列でのブラックホールの様子を動画で公開。堂々とした勇ましい姿には、5800件もの“いいね”が集まりました。リプライ(返信)には「もっと見ていたいほどのきびきびした動作が美しいですね」「元気な姿が見られてうれしかったよ」「引退馬の希望の星ですね」など、ブラックホールのファンからの声がたくさん寄せられています。
ツイッターで元気な姿を見せ、ファンも大喜び
ブラックホールは2017年2月16日生まれ。2歳だった2019年7月にデビューし、2戦目で初勝利を挙げると、続く3戦目の札幌2歳ステークス(G3)で重賞を初制覇しました。
このレースはのちのダービー馬などを輩出する“出世レース”として知られているため、一躍世代の中心として名をとどろかせます。父ゴールドシップ産駒としても初めての重賞であり、父の種牡馬としての名声を高めるきっかけにもなりました。
年末のホープフルステークス(G1)は9着でしたが、3歳になった2020年からは皐月賞(9着)、日本ダービー(7着)、菊花賞(5着)と3歳馬の頂点を決める3歳牡馬クラシックレースすべてに出走。勝てないまでもすべて人気より上の着順に来ました。
ところが、2021年に左後ろ脚を負傷し、競走馬としての復帰が困難に。協議の結果、引退が決まりました。札幌2歳ステークスが最後の勝ち星でしたが、ひたむきに走り続ける姿が多くのファンの感動を呼んでいたことは記憶に新しいでしょう。
引退後は乗馬用として繋養(けいよう)されることが決定。今年7月には公式ツイッターもスタートしました。担当者さんは大きな反響に感謝を語ります。
「『怪我が良くなって良かった』『また姿が見られてうれしい』など、多くの温かいコメントやメッセージをいただきました。普段のブラックホールは思った以上にスイカが好きなようで、スイカを持っていなくても、スイカをくれた人の手が近づくだけで口をバクバク動かしたり、舌でペロペロしたりしています」
現在はグッズも完成。収益の一部はブラックホールのごはん代に充てられます。一般的に馬の平均寿命は20~30歳といわれていますが、ブラックホールはまだ5歳。今後の成長にも注目です。
○取材協力:ブラックホール(@BlackHole0216)さん
(Hint-Pot編集部)