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縄文人の暮らしを楽しむサラリーマン 竪穴住居を手作りして大反響「泊まってみたい」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

屋根を葺くのに14日間 途方もない作業の先に…

河原の石を20時間磨いて作った石斧【写真提供:週末縄文人(@wkend_jomonjin)さん】
河原の石を20時間磨いて作った石斧【写真提供:週末縄文人(@wkend_jomonjin)さん】

 2人が作った竪穴住居は、穴を掘って柱を組み、その上にクマ笹で屋根を葺いた本格的なもの。しかし、ナイフなどの現代的な道具は一切使っていません。何十本も必要な柱用の木を切るための斧さえも、河原にあった石を20時間磨いて木の柄を付けた石斧です。

「道具を使わず縄文人と同じやり方で作れば、彼らの目線で世界が見えるかも、という期待もありました」

 深さ約40センチ、直径約2.4メートルの大きな穴を掘るのは、拾ってきた木の棒で。柱や屋根を結束するためのつるも石を使って切りました。

「制作する際に一番時間がかかり、大変だったのが屋根を葺く作業です。何とこれだけで14日間もかかりました。70~80本のクマザサを束にまとめ、それを何百個も骨組みに結び付けていきます。そのため素材集めが大変で、特に楽しくもない作業。あまりの進みの遅さに取り乱しそうになりました」

 屋根を葺いている最中、お互いの意見が食い違って険悪ムードになったことも。また、別の問題も発生しました。

「割と無計画で進めていたので、屋根を葺いてる途中でてっぺんに手が届かないことに気づきました。そこで、てっぺんだけ新たに別の枠組みを作り、笹を結び付けてから最後に乗せています。こうやって工夫しながら方法を見つけていくのが楽しく、この活動の醍醐味でもあります」

 最後までこだわった屋根のてっぺんを乗せて、ついに完成。直径335センチ、高さ180センチほどの大きな夢の住まいが形になったのです。その時の2人は涙を流して抱き合い、喜びを全身で表現しました。

次は“食”を極めたい! 今の目標は塩作り

「住み心地は良いです。気温は外よりも涼しく、薄明かりも心地いいですね。湿度は少し高いですが、中で火を焚けばカラッとするので問題ありません。焚き火の煙で虫もまったくいなくなります。雨風はよほど土砂降りじゃない限り大丈夫。骨組みからしっかり作っただけあって、強度はとてもあります!」

 こうして理想の“住”環境を手に入れた2人。次は“食”を極めていきたいと考えているそう。

「今のところはコップ程度の土器しか作れていないので、次は煮炊きできるサイズの土器を作り、それで製塩(海水を蒸発させて塩を作る)をしたいです。以前、手作りの網でヤマメを獲ったことがあるのですが、めちゃくちゃ塩を付けて食べたいと思ったので。あと、そろそろ川に入るのも寒くなってくるので、釣り竿も作りたいですね」

 最後に、現代において縄文人の暮らしを再現しようとすることには、たくさんのハードルがあるといいます。

「例えば山で火を起こすのも、消防署の許可が必要になる場合もあります。弓矢でシカを狩りたいと思ったこともありますが、狩猟に関する法律に触れるんです。僕らはそんなさまざまなことに注意しながら活動しているので、もし自分もやってみたいと思ってくださる方がいた場合には、そうした面も注意していただけるといいなと思います」

 2人は自分たちで土地を借りて活動しています。しっかりルールを守る姿からも、やはり本気ぶりが伝わりますね。これからの活動も楽しみです!

※他人が所有する山や森林に勝手に立ち入ったり、そこでの産出物を持ち帰ったりすると、軽犯罪法違反や森林窃盗罪に該当する場合があります

(Hint-Pot編集部)