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隣室が壁を叩いて抗議…魔の2歳児を育てるタワマンマダム 騒音問題で取るべき策とは

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:姉帯 裕樹

タワマンの壁にはメリットとデメリットが

 子どもが泣き叫んだ時は無反応、物が当たると壁ドン。不動産のプロとして20年以上の経験を持つ姉帯さんは、この不思議な状況にはタワマンの造りが関係していると語ります。

「通常のマンションと違って超高層のタワーマンションは、壁をできるだけ軽く作ることが求められます。そこで大半のタワマンで採用されているのが、防音材や断熱材といった機能を持つ材料を石膏ボードで挟み込んだ『乾式壁』。コンクリート壁なら厚さ20センチ程度が必要になるところ、乾式壁なら10センチ未満で同様の機能を果たすことができるんです。

 ですから隣室から生活音が響くことはほぼなく、よほど壁際で騒がない限り、子どもが騒ぐ声も基本的には聞こえにくいはず。もちろん、複数の大人が大声で騒ぐ、特大ボリュームで音楽を流す、といった場合は響きますけどね」

 ただし、乾式壁にも欠点があるそうです。

「それは、何かがぶつかった時の音が響いてしまうということ。今回、お子さんがおもちゃを壁に投げるとのことですが、そうした音は間違いなく響きます。例えば掃除機のヘッドが壁にぶつかったり、家具が壁に当たってしまったりした音も響くので、乾式壁の場合は壁に物が当たらないように注意することが必要になるのです」

姉帯 裕樹(あねたい・ひろき)

「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。

乾式壁にはメリットも

 沙良さんによると、隣室に住むのは30代男性。コロナ禍でテレワークになっている可能性があり、そのため騒音に過剰反応しているのでは……と沙良さんは考えています。

 隣家の音がうるさいかは、人それぞれの感覚によるもの。一日に何度も何度もおもちゃを投げられ、もしもリモート会議の最中にガツンガツンと壁に音が響いたら……「耐えられない!」と怒るのもうなずける話でしょう。

 沙良さんの場合は「隣人が怖い」と怯えるより、物を投げさせることを止めるのが最善の解決策。戸建てへの引っ越しも良いかもしれませんが、子どもの手が届く場所に壁に当たって音が出るような硬いおもちゃを置かない、配偶者さんが反対しても防音マットを壁に貼るなどの対策を第一に考えることが大切といえます。

 また姉帯さんによると、乾式壁には通常のコンクリート壁にはないメリットがあるそうです。

「乾式壁は薄い分、部屋が広くなるというメリットがあります。平米数は壁芯で採寸するため、同じ平米数のマンションでも乾式壁なら5~10センチくらいは広くなる場合も。防音性能、断熱性能は変わらないのに、使える空間は広くなるということです。壁に衝撃を与えないよう丁寧に暮らせる人なら、タワマンを狙うのもありじゃないでしょうか」

 タワマンだから余計に音が響くわけではなく、住人の心がけ一つで騒音問題が解消できると分かった今回のお悩み。とはいえ、“魔の2歳児”は想像の上を行く問題を引き起こす可能性があるのも事実です。こればかりは早く過ぎ去ることを祈るしかありませんね。

(和栗 恵)