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からだ・美容

乳がん全摘後の痛みは? 体験者が感じた日常生活で気をつけた方が良いこと

公開日:  /  更新日:

著者:島田 みゆ

退院後の生活はどう変わる?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
退院後の生活はどう変わる?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ライターの島田みゆさんは、今年2月に乳がんが判明。診断や治療を通して、もっと女性たちに乳がんのことを知ってほしいと思うようになり、この連載でさまざまな実体験を綴っています。島田さんは、39歳の誕生日を迎えた直後の3月に右胸の全摘手術を受け、現在は薬物療法中。全摘手術後6日で退院しました。今回のテーマは、術後の傷口の痛みや、意識して気をつけたことについてです。(監修:みやびクリニック院長 日本乳癌学会乳腺認定医 矢加部文医師 ※本記事は調べた情報や担当医の話などを基に筆者が執筆した内容を、専門医が改めて監修したものです)

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退院後は通院での経過チェック

 退院後は、2日後、4日後、1週間後に外来へ通院しました。すでにドレーン(管)を抜いているので、溜まった水を抜いてもらうためです。

 量は少ないものの、手術した胸の辺りにはまだ水(体液など)が溜まります。腫れるとまでいかないくらいですが、外から触るとプクプクしています。そこに注射を刺して水を抜くのですが、手術した周辺は感覚がまだ鈍く刺激をほとんど感じませんでした。

 また、退院した頃から傷口周辺が少し赤みを帯び、多少熱を持つようになりました。感染を起こしているわけでなさそうとのことで、原始的に手持ちの保冷剤で冷やすことに。

 私の右胸の部分は下着を着けると空洞化するのですが、実はこの時期にはそこに小さな保冷剤が入っていたというのは、ちょっとした笑い話です。こちらは保冷効果もあって、1週間ほどで治まってきました。

 また、外に出る時は、人にぶつかったり何か衝撃を受けたりして何かが直接当たるのが怖かったため、保冷剤が必要なくなってからはたたんだハンドタオルを入れていました。

乳がん術後にやっていいこと、ダメなこと

 退院時には病院から「乳がんの手術を受けた方へ」という、日常生活の注意事項をまとめた冊子をもらいました。一番注意すべきは「リンパ浮腫」(リンパ液が溜まってむくんでしまう症状)です。

 私は脇のリンパ節は切除しておらず、術中のセンチネルリンパ生検のために2センチほど切っただけでした。それでも「念のため、リンパ浮腫には気をつけてください」とのことで、主に次のことは注意するように言われました。

○手術した側で重いものを持たない。採血、血圧測定などもできるだけ反対側で
○手術した側にきつめの腕時計、指輪、ブレスレットなどは避ける
○皮膚に傷を作らない、日焼けをしない、虫刺されに気をつける
○皮膚は清潔に、乾燥しないように保湿・保護をする
○簡単なリハビリ体操をして、動かすようにする

 正直、「虫刺されを避けるのは無理でしょ」と思いましたが、とにかく圧迫したり傷を作ったりするのは気をつけること。それさえ避ければ、基本的に生活の制限ややってはいけないことはないので、多少痛くても動かすことを意識して生活しました。

 日常生活はそもそも病院生活に比べて活動量が多いですし、自然と腕を動かしたり上げたりすることもあり、入院していた時よりも多少痛みはありました。特に「歩くと響く」という感じです。

 走る、ジャンプは刺激が強すぎるのでしばらくは無理。腕の上げ下げ、腕回しもやはりそれなりに痛みます。ただそこは傷口を押さえながら「うぉー!」と気合の声を上げて(これを言うと言わないとでは結構違う)、動かすようにしました。

 リハビリで教わった簡単な体操や、ヨガのポーズでできるものを確かめつつ、この頃はひとまず「『ラジオ体操第1』がスムーズにできる」ことを目標に掲げていました。