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お月見に団子を飾るのはなぜ? 並べ方のコツとは

公開日:  /  更新日:

著者:鶴丸 和子

白い団子は15個を3段に積み上げる

三方に紙を敷き3段に積む。ススキなどとお供え(写真はイメージ)【写真:写真AC】
三方に紙を敷き3段に積む。ススキなどとお供え(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 現在ではお月見本来の目的意識が薄れているかもしれませんが、今年は中秋の名月を愛でて日頃の感謝の気持ちを月に伝えてみてはいかがでしょうか。月見団子は地域によってあんこで包んだり、色付きのものだったりさまざまありますが、シンプルな丸めただけの白い団子の飾り方をご紹介します。

 中秋の名月は、十五夜にちなみ15個の団子を3段で並べるのが一般的です。1段目に9個(3×3)、2段目に4個(2×2)、3段目に2個を盛ります。諸説ありますが、ピラミッドのような山の形に団子を盛りつける理由は、一番高い団子が「霊界」に通じるアンテナのように考えられてきたからといわれています。

中秋の名月(写真はイメージ)【写真:写真AC】
中秋の名月(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 盛り付ける器は、本来は「三方」を用います。神事では白木でできたもの、仏事では塗りのもの(三宝)に白い紙を敷き団子を飾るのが一般的です。月が見える位置に設置し、三方の穴が開いていない方を月側にするのが基本です。ただし、現代では三方がある家は少ないので、お盆や大皿に紙を敷き、並べて供えましょう。

 白い月見団子を家で作る場合は、まん丸にしないことがポイントです。球状になったまん丸の白い団子は、亡くなった方の枕元に供える「枕団子」に通じるということで、避けられることがあります。ほんの少しだけつぶした形にします。

 実は日本独特の月見の風習に「十三夜」があります。2023年は10月27日が十三夜です。十五夜を見たら、十三夜も愛でると「二夜の月」と呼ばれ、縁起が良いといわれています。片月見とならないよう、両日とも月見団子をお供えして楽しみましょう。

(鶴丸 和子)

鶴丸 和子(つるまる・かずこ)

和文化・暦研究家。留学先の英国で、社会言語・文化学を学んだのをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。
インスタグラム:tsurumarukazu