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月にうさぎがいるのは日本だけ? 意外と知らない「月」にまつわる雑学
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「中秋の名月」は別名「十五夜」と呼び、日本では旧暦8月15日(2023年は9月29日)の月を楽しむ風習があります。丸い月にある薄暗い影の部分を「餅つきするうさぎ」に見立てるのが日本での通説ですが、海外では違う形に見られているのを知っていますか? お月見が楽しくなる、月にまつわる豆知識3つを紹介します。
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月にうさぎ 海外ではどう見える?
古くから身近な天体として人々に親しまれてきた月。丸い月を肉眼で見た時に、薄暗い影のような模様を餅つきするウサギの姿に見立てることが日本では多いですよね。「月にいるうさぎ」の存在は、古くは「今昔物語」にも記述されていて、古来インドの伝説が中国から伝わったとも言われています。
月は、地球に対して同じ面を向けて回っているので、世界中どこからでもほぼ同じ月を見ることになります。しかし、この模様を「うさぎ」に見立てるのは、世界共通ではありません。ロバやカニ、ライオンなど他の生き物の姿だったり、女性の横顔や本を読むおばあさんだったり、さまざまです。
日本では月で餅をつくうさぎ 中国では?
また同じうさぎでも、日本では餅をついている姿が一般的ですが、中国では薬草をひいていると言われているとか。同じ月の模様が、それぞれの文化や風習によって違う見え方になるのは興味深いですね。
ちなみにこの月の薄暗い部分は、「月の海」と呼ばれ、「雲の海」や「晴れの海」などそれぞれ名前が付けられています。海といっても水ではなく、黒い色の玄武岩と呼ばれる岩石です。白っぽい部分は「月の高地」とも言われ、白い岩石でできているので明るく見えます。
「中秋の名月」は満月とは限らない
旧暦では7月は初秋、8月は中秋、9月は晩秋としていました。中秋の名月は、秋の真ん中の月。湿度が下がり、空気が澄んでくる頃です。夏よりもやや高い位置で輝くことから「1年で最も美しい月」として愛でられてきました。
最も美しいとされる中秋の名月が、必ず満月かというとそうではありません。そもそも旧暦8月15日に見える月(十五夜)のことなので、いわゆる満月(地球から見て月と太陽が反対側に来る瞬間)と同じ日になるとは限らないのです。中秋の名月は、満月になる一歩手前の月が多いようです。
2023年の中秋の名月は、珍しく満月の日と重なります。見逃したくないですね。
お月見に欠かせないお供え物 ススキの意味とは
そもそもお月見は、中国から伝わったとされる風習。奈良・平安時代には貴族の間で宴として行われていたようです。江戸時代になると庶民の間にも広がり、五穀豊穣を願う行事として広まりました。現在でも、中秋の名月の時期に秋の収穫祭を開催する地域は多いですよね。
お供え物でよく見かけるススキは、葉の切れ味が鋭いことから魔除けなどの力があるとされてきました。またお月見の時期が稲刈り前であったことから、穂の出たススキを稲穂に見立てて飾り収穫への感謝を込めたという説もあります。
お月見の定番 月見団子はいくつ供える?
梨や芋など秋の収穫物も供えることもあります。里芋は一株でどんどん増えることから子孫繁栄を意味する縁起物。地域によっては里芋を蒸したり、煮たり、みそ煮にしたりして食べます。
月見団子は、中国で供えられた「月餅」が日本では団子になったという説があります。関東では白くて丸い団子を供えるのが一般的。数は、十五夜にちなんで15個だったり、年間の満月の数に合わせて12個(うるう年は13個)だったり。5個や3個もあります。
中秋の名月 月うさぎに思いをはせて
知っているようで知らない「月」にまつわる豆知識やお供え物の意味をご紹介しました。日本では餅つきするうさぎの姿に見立てる月の模様。世界ではカニやライオン、女性の横顔などとも言われ、国によって違う見え方になるのもおもしろいですね。月うさぎの由来やお供え物の意味を知ると、お月見がさらに楽しくなりそうです。2023年の中秋の名月は9月29日、満月の日と重なります。お月見当日のお天気が気になりますが、月が見える窓辺にお供えを飾って楽しみたいですね。美しい満月にうさぎは見えるでしょうか? 1年で最も美しい月に感謝を込めましょう。
(鶴丸 和子)