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旬のイチジクが「便通」に良いといわれる理由とは? 栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実
イチジクの旬は年に2回あるといわれています。1回目は6月~8月頃で、2回目は8月~11月頃まで。ちょうど今の季節に店頭に並ぶのは2回目の旬のもので、甘味があるのが特徴です。便秘が気になる人が食べると良いイメージがありますが、なぜでしょうか。栄養士の和漢歩実さんに伺いました。
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プチプチとした食感と甘みがおいしい
イチジクは、クワ科イチジク属の植物で、アラビア半島や南西アジアが原産といわれています。古くから栽培されている果物で、アダムとイブが身につけていたのはイチジクの葉という話も。
諸説ありますが、日本には中国から伝来したようで、昔は薬として用いられていたそうです。本格的な栽培が始まったのは、明治時代。品種によって収穫時期は異なりますが、一般的には夏から秋にかけて多く流通しています。プチプチとした食感と甘みがおいしい果物です。
欧米や中東ではドライフルーツに加工するなど乾燥させることが多いですが、日本では生で食べることが好まれています。日持ちしないフルーツなので、食べ切れない場合はジャムやコンポートなどにすると良いでしょう。
全体的にえんじ色で、おしりの開いているものが完熟の目印。果皮にハリと弾力があり、ふっくらとしていて形の良いものがおいしいです。
2種類の食物繊維をバランス良く含む
「不老長寿の果物」ともいわれるほど栄養価が高いイチジク。特に腸の働きを整え、便通を良くするとのイメージがあるのは、消化を助ける酵素や豊富な食物繊維を含む点にあるでしょう。
食物繊維には不溶性と水溶性があり、それぞれに主な役割があります。不溶性食物繊維は保水性に富み、便の量を増やして大腸を刺激し、腸の働きを活性化させるので、便秘解消に役立ちます。
また水溶性の食物繊維は食後の血糖値の上昇を抑え、腸の中に入ってきたコレステロールのうち、余計な分を吸着して、便とともに排泄することで動脈硬化や高血圧を防ぐことが期待されています。
イチジクにはこれら2種類の食物繊維がバランス良く含まれているのが特徴です。この他、フィシンと呼ばれるタンパク質分解酵素が豊富で、消化を助けてくれます。肉料理の後のデザートにおすすめです。
生のイチジクは1個を80グラム(廃棄率15%)とすると、カロリーは約40キロカロリーと低めです。しかし、カロリーが低く、便通に良いとはいえ、食べすぎには要注意です。下痢になることも考えられます。1日2個くらいを目安にしましょう。
整腸作用がある乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトとイチジクを一緒に食べると良いでしょう。イチジクに多く含まれる食物繊維は善玉菌のエサになるので、より腸内環境を整える効果があります。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾