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地名の「ヒラ」と「タイラ」 実は同じ意味ではない 地形にまつわる違いとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:日本地名研究所

地名は読み方によって意味も変わる(写真はイメージ)【写真:写真AC】
地名は読み方によって意味も変わる(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 全国各地にある「平」が付く地名。主に「○○ヒラ(ビラ)」や「○○タイラ(ダイラ)」と読みますが、読み方が違えば地名の意味も違うことをご存じでしたか? それぞれに一体どのような意味が隠されているのでしょう。今回の「Hint-Pot 地名探検隊」は、40年以上も地名研究を続ける日本地名研究所(神奈川県川崎市)の協力のもと、その違いにスポットを当てます。

 ◇ ◇ ◇

同じ「平」でも読み方によって意味に大きな違いが

 平と書いて「ヒラ(ビラ)」または「タイラ(ダイラ)」と読みます。しかし地名となると、それぞれの読み方で意味がかなり違うのです。

 まず「ヒラ」と読む地名は、主に“山腹”や“傾斜地”を指します。例えば、全国に多数ある「平山」の地名。イメージとしてあまり高くない山を想像しますが、基本的には傾斜地に由来した地名だと考えられています。

 他に例を挙げると、大分県杵築市大片平(オオカタヒラ)は山間地に。さらに、神奈川県川崎市麻生区片平(カタヒラ)は片側が崖地だったため、もう片側にのみ集落が開けたと伝えられています。また、横浜市保土ヶ谷区にある帷子(カタビラ)町の語源は、衣服ではなく川によって削られた地形です。

 ただ「ヒラ」の語源については、一説にアイヌ語の「ピラ」(崖)にあるともされ、北海道には赤平(アカビラ)市や札幌市豊平(トヨヒラ)区といった地名が。また、「古事記」の神話に出てくる「黄泉比良坂(ヨモツヒラサカ)」(神話で死者の国と現世の境目とされる坂)のヒラも崖を意味するとされています。

「平」を「タイラ(ダイラ)」と読む場合は?

 一方で「タイラ(ダイラ)」は、平良のように「タイ(ダイ)+ラ」で構成されています。タイには平の他に、岱や台などの漢字が当てられ、またラは「~のような」という意味です。つまりタイラとは、原野や森、比較的高い平坦地を指します。

 このタイラの地名が多数見られる都道府県があります。それは長野県で、「善光寺平(ゼンコウジダイラ)」「菅平(スガダイラ)」「佐久平(サクダイラ)」「松本平(マツモトダイラ)」「池の平(イケノタイラ)」「御所平(ゴショダイラ)」「蕨平(ワラビタイラ)」「上ノ平(ウエノタイラ)」「後平(ウシロダイラ)」「菱平(ヒシダイラ)」「富士見平(フジミダイラ)」など、枚挙にいとまがありません。

(Hint-Pot編集部)