からだ・美容
「腟トレ」が男性にも必要な理由とは 尿切れや尿漏れを改善するには骨盤底筋を鍛える
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教えてくれた人:OliviA
最近よく「腟トレ」というエクササイズを耳にします。ラブライフアドバイザーのOliviA(オリビア)さんによると、実は性別を問わず存在する「骨盤底筋」を鍛えるもの。排尿機能の低下防止など、女性だけでなく男性も効果が期待できるのだそうです。性との向き合い方に悩む読者の皆さんから寄せられたご相談に回答するこの連載。今回は「腟トレ」についてじっくり解説していただきました。
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膀胱や直腸、子宮などを支える骨盤底筋 男女ともに大切
――最近よく聞きますが、腟トレーニング(腟トレ)とは何ですか?
「腟」という単語があるため女性だけのものと思われがちですが、実は骨盤底筋を鍛えるトレーニングのことです。骨盤底筋とは腹部の付け根(股間、骨盤の底)にある筋肉の総称で、当然ながら男性にも存在します。膀胱や直腸、女性の場合は子宮などを支えるもので、性機能と排尿に重要な役割を果たしているのです。
――その部分の筋肉を鍛えると、どんなメリットがあるのですか?
メリットはたくさんありますよ。女性の場合、骨盤底筋は妊娠・出産でゆるみやすくなります。くしゃみや大笑いをした時の腹圧で起こる尿漏れの症状なども改善が期待できるでしょう。また、腟トレをすると性行為でオーガズムに達した時の快感度が上がるとされています。
骨盤底筋を鍛えることは男性にも有効です。男性も骨盤底筋の筋力低下によって尿の切れが悪くなったり、射精時の不完全燃焼が起こったりします。射精時の不完全燃焼は性行為の満足度に関係するものですから、骨盤底筋は非常に重要なのです。
普段の生活を快適に過ごすためにも、骨盤底筋を鍛えることは、性別やパートナーの有無を問わず大切だといわれています。性機能にも排尿トラブルにも効果があるので、男女ともにおすすめしたいエクササイズです。「泌尿器科に行くのはハードルが高い……」と感じるようなら、症状が軽いうちにトレーニングしておくと良いのではないかと思います。
意識的に締めてゆるめるだけでも効果アリ 毎日の習慣に
――今すぐできるトレーニングはありますか?
骨盤底には約15種類の筋肉や靭帯、組織が重なり合っており、そのうち自分の意思で動かしやすいのが括約筋です。女性の場合は尿道口と肛門の周りと考えれば良いでしょう。この部分の筋肉は比較的弛緩させやすいので、気づいた時に締めてゆるめる動きを繰り返せばトレーニングになります。通勤時間や仕事中の座っている時間にも行うことは可能です。
腟口は締めることがかなり難しいのですが、こちらも頭の中で場所を意識しながら締めてゆるめるだけでトレーニングできます。感覚を確かめたい場合は会陰部に指を当て、締めてゆるめることを繰り返すと筋肉が動くのが分かるでしょう。
――何かグッズを使う方法はありますか?
本格的にトレーニングをするのであれば、市販のグッズを使うのも手ですね。フェムテック(女性の健康課題をテクノロジーで解決する商品)の中でも更年期ケアとセクシャルウェルネスのジャンルでグッズは増えてきています。
有名なものはシリコンでできたボールでしょう。腟の中に挿入して、落ちてこないようにホールドすることで骨盤底筋を鍛えることができます。やや重いので力を入れておかないと出てきてしまいますので、入り口付近をしっかり締めるよう意識してください。
一番負荷がかかるのは小さくて重いものです。本格的な尿漏れや尿失禁に悩んでいる場合や、産後に腟の感覚が大きく変わってしまった場合には効果的なグッズだと思います。
――尿切れが悪い、尿失禁などの予防と改善を目指す男性も使えるグッズは?
男女ともに使えるものには、スマートフォンのアプリを使ったグッズがあります。股間にフィットするようデザインされた医療用シリコン製のパーツ上に着衣のまま座り、骨盤底筋を素早く締めたりゆるめたりするものです。
そうすることでパーツの中に仕込まれたセンサーを反応させ、連動しているスマートフォンアプリでトレーニングの結果を正確に測定できます。その反応により、アプリでは画面上のボールを打ち返してブロックを消すゲームなどを楽しむことも可能です。トレーニング時間は1日5分、1ゲームで終了します。挿入タイプではないので、妊娠中の女性も使用することができますね(妊娠中は腹圧がかからないよう注意して使用してください)。
また、ヨガやピラティスで鍛える方法もあります。下半身のインナーマッスルを鍛えるトレーニングには、スクワットなど家で手軽にできるものもたくさんありますので、全身を鍛えながら取り入れてみてください。
(Hint-Pot編集部)
OliviA(オリビア)
1980年生まれ。ラブライフアドバイザー(R)、アロマセラピスト、日本性科学会 会員。学生時代に「女性の性」をテーマに卒業論文を執筆したことをきっかけに、2007年より性に関する総合アドバイザーとして本格的に活動を開始。台湾でも書籍を出版するなど、日本のみならず海外にも活動の幅を広げ、多方面で「女性のセクシュアルウェルネス」「コミュニケーションを重視した性生活」の提案を行っている。近著に「セックスが本当に気持ち良くなるLOVEもみ」(日本文芸社)など。