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自分が事故の加害者に…備えておくべき自転車保険 知っておきたい加入のポイント

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

自転車事故の加害者・被害者どちらになった時でも役立つ自転車保険(画像はイメージ)【写真:写真AC】
自転車事故の加害者・被害者どちらになった時でも役立つ自転車保険(画像はイメージ)【写真:写真AC】

 自動車のように公的な運転免許証が必要ではないため、実際に操作することができれば誰でも乗ることができる自転車。しかし、法律上は軽車両に分類されており、自動車などと同様の交通規則が定められています。もちろん自転車が関わる交通事故で自身が加害者になれば、その賠償額が高額になる場合も。そうした事態に備えて2020年10月から、全国的に自転車保険加入の義務化が進められていますが、地域によって加入が進んでいないのが現状のようです。それでは自転車保険に加入するメリット・デメリットは何なのでしょうか。自転車文化センターのサイクルアドバイザー・山口文知さんに解説していただきました。

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自転車利用者は増加の一方で新たな社会問題化が

 自転車保険の加入が義務化された背景には、コロナ禍による生活スタイルの大きな変化があると考えられます。リモートワークの継続などで運動不足になり、「コロナ太り」の解消をする手段として自転車を活用する方も増えています。それにデリバリーサービス配達員の急増や、自粛生活からのストレス解消手段としての役割も。

 また、コロナ禍の影響ではありませんが、運転免許証を返納して新たに電動アシスト付き自転車に乗り換えた高齢者もたくさんいます。最近では高騰するガソリン代を節約するため、車から自転車に乗り換えた方も。

 しかし、警察庁交通局「令和3年における交通事故の発生状況等について」の統計を見ると、自転車の交通事故を含めた交通事故の件数は徐々に下がってきてはいますが、自転車が関わる交通事故は他の交通事故に比べて減少がゆるやかです。

 それは、自転車利用が増えていることと、自転車の走行環境(歩道と車道)などが今まで曖昧に扱われてきた経緯があるため、交通法規を正確に理解して自転車を運用している人が少ないことがその要因といわれています。

 自転車がかかわる交通事故であっても、一度事故となれば人命にかかわる交通事故にもなり得るわけで、その賠償責任は高額になります。近年、自転車がかかわる交通事故で高額な賠償金が支払えないことなどが社会問題化したこともあり、もしもの時のために自転車保険の加入が義務付けらました。

過去には9500万円の支払いが命じられた事故も

 交通事故の加害者が被害者と和解し、事故を解決させるために支払う費用には、事故による怪我の治療や入院などの医療費用、治療のための交通費などの諸費用、休業損害補償、慰謝料などがあります。たとえ自転車がかかわる交通事故であっても、被害者が負った怪我の状況次第では高額な補償金を請求される事例があります。

 2013(平成25)年、神戸地方裁判所において、当時小学生の児童(12歳)が夜間に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において、歩行者の女性と正面衝突をする事故が発生。この女性は頭蓋骨骨折の重傷を負い、その後意識が戻らない重体になりました。その後裁判となり、加害者である児童の母親に対して9500万円の支払いが命じられました。

 この事故は、自転車が関わる交通事故としては補償金の高額な支払いが命じられた判例として、関西地区を中心に報道されました。そのため、関西地区では自転車利用者に保険の重要性が意識付けされるようになり、自転車保険の加入促進につながりました。

 現在は関西地区だけでなく、自転車保険は重要であるということは全国の自転車利用者に広まりつつあります。ところが、自分は事故を起こさないとの過信や、自転車の交通事故は軽微であるという思い込みがある方は少なくはなく、それが加入の促進されない要因と考えられています。