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自分が事故の加害者に…備えておくべき自転車保険 知っておきたい加入のポイント

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

自転車保険に入るメリットは?

たとえ学生であっても、加害者側になれば高額な賠償が必要になる場合が。家族で加入しておくことが大切(画像はイメージ)【写真:写真AC】
たとえ学生であっても、加害者側になれば高額な賠償が必要になる場合が。家族で加入しておくことが大切(画像はイメージ)【写真:写真AC】

 それでは、自転車保険に入るメリットを改めて考えてみましょう。もし、自転車による交通事故を起こし、数千万円にも及ぶ高額な補償金の支払いを命じられたら……。自費でまかなうことは難しいかもしれませんよね。このような時に備えて、「個人賠償責任保険」と「傷害保険」両方の補償対象を合わせて網羅した、「自転車保険」に加入する必要があると考えます。

「個人賠償責任保険」とは、事故発生後に相手の生命や身体に負った損害と、財産に対する賠償を行う保険です。そして「傷害保険」とは、ご自身の生命や身体に負った損害を補償する保険です。傷害保険は、事故の相手が「個人賠償責任保険」に未加入であるなど、財力不足から補償を得られない事態に備えておく効果も得られます。

 もちろん、すでにご自身が加入している保険の補償対象によっては、改めて自転車保険に加入する必要はありません。内容を改めて確認し、補償対象や補償金額に不足を感じた時には、保険の見直しをしておく必要があります。

自動車事故と同様に考えて保険を選ぶ! 示談交渉付きがおすすめ

 保険の賠償額は高額なほど安心できますが、その分保険料も高額になります。神戸での事例の賠償金額は9500万円にもなりましたが、これは決して特異な事例ではありません。

 自転車の事故で被害者の尊い人命を奪ってしまったり、大きな後遺障害を負わせてしまったりした場合は、自動車の事故同様に被害者やその家族に対して高額な賠償金を支払うことになります。そのことを肝に銘じて、保険の賠償金額を考慮することが必要です。

 交通事故を起こしたら、最終的な解決に向けて被害者側と示談交渉を行わなければなりませんが、これを個人で対応すると精神的な負担が大きく、かなり大変です。自転車保険に加入する時には、示談交渉が付いている保険を視野に入れて検討すると良いでしょう。

加害者、被害者に関係なく万が一に備える必要も

 自転車は自賠責保険がないため、自転車保険に加入していないで人命にかかわるような人身交通事故を引き起こすと、事故による怪我の治療や入院などの医療費用、治療のための交通費などの諸費用、休業損害補償、慰謝料などをすべて加害者が自費でまかなわねばなりません。

 たとえ賠償金額が数百万円であっても、加害者のその後の人生計画は大きく狂うことになります。また被害者にしても、加害者に貯蓄がなければ賠償金を支払ってもらうことはできません。

 今までこのような残念な事故事例が幾度となく繰り返され、その結果として自転車保険の義務化が促進されました。しかし、現状での加入率は65%程度にとどまっています。交通安全に対して意識が高い人ほど自転車保険に加入して、逆に交通安全に意識の低い人ほど保険に加入しておらず、交通事故を引き起こす確率が高い傾向にあるようです。

 自転車保険に加入していれば、賠償金も保険会社からスムーズに支払われ、結果として事故を早く円満に解決することができます。

◇山口文知(やまぐち・ふみとも)
1958年埼玉県生まれ。サイクルアドバイザー。日本自転車普及協会の自転車文化センター勤務。小学生の時に遠乗りサイクリングを始め、高校・大学在学中もサイクリング部に所属し全国各地を回った。1992(平成4)年に日本サイクリング協会に入社。サイクリングインストラクターなどの野外活動指導者育成や、初心者を対象にしたサイクリング教室に従事。日本最大級のヒルクライムイベント「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」など多数のサイクリングイベントを立ち上げてきた。2015(平成27)年には、日本サイクリングガイド協会と協力し、サイクリングガイド育成のためのカリキュラムや検定問題などを作成。実際にサイクリングガイドの検定員を担い、愛媛県や沖縄県などにサイクリングガイドを誕生させる。

(Hint-Pot編集部)