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G1で5勝を挙げたメジロドーベル“姐さん” 28歳の現在は次世代の名馬を育てる立場に

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

「ドーベル姐さん」とファンからも人気が高いメジロドーベル(左)【写真提供:LakeVillaFarm(@villa_lake)】
「ドーベル姐さん」とファンからも人気が高いメジロドーベル(左)【写真提供:LakeVillaFarm(@villa_lake)】

 競走馬として、母として、そして現在はリードホースとして、メジロドーベルは28歳になっても元気に過ごしています。9月下旬、レイクヴィラファーム(北海道洞爺湖町)の公式ツイッター(@villa_lake)でドーベルの動画が公開されると、再生回数はすぐに数万回に達しました。現役時代はG1を5勝。母としては10頭の産駒を産み、現在は0歳馬のリードホースを務めながら“第三の馬生”を送っています。そんなドーベルの近況について、同ファームの的野裕紀子さんにお話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

人間で90歳前後 硬いニンジンをボリボリ!

 9月下旬、レイクヴィラファームの公式ツイッターでは、ドーベルがニンジンを頬張る動画が公開されました。現在28歳。人間なら90歳前後に相当しますが、硬いニンジンをボリボリと音を立てて食べています。数秒の動画ですが、多くのファンから「元気そうで何より!」や「食欲が衰えないのはすごい」といったリプライ(返信)が寄せられました。

 的野さんは「うちの牧場はどの馬も年に1回、歯の検査をするのですが、気になることはないですね。本当に元気です」と話します。丈夫なのは歯だけではありません。馬にとって何よりも重要な脚元にも不安点はないそうです。

「蹄も丈夫ですね。父のメジロライアンも丈夫だったので、それを受け継いでいるのかもしれません。体重が500キロを超える馬にとって蹄は大事なので、そこが丈夫なのは大きいです」

 現在はリードホースとして過ごしているドーベル。的野さんは「保育士さんのような立場です。母馬から離乳したばかりの当歳(0歳)馬たちの面倒をよく見てくれていますよ」と目を細めます。

 リードホースはどの馬にもできるわけではありません。サラブレッドとはいえ馬。本来は群れで過ごします。しかし、中には群れに興味を示さない牝馬もいます。逆に気性がきつすぎる牝馬でも務まりません。

「甘やかしすぎることもなく、ちゃんと叱るところは叱ってくれるのでありがたい存在です」と的野さん。競走馬として活躍するためには、早めの自立が必須です。離乳したばかりの0歳馬は、まだまだママが恋しい時。時として不安定になることもありますが、的野さんによると「ドーベルがメンタルケアをしてくれる」とのこと。

現役時代は負けん気が強くG1で5勝 今は次世代の名馬を育てる立場

 生活リズムは決まっています。夜間は放牧地で過ごし、馬房に戻るのは朝7時~8時頃。午後2時くらいまで馬房で過ごして、そこから翌朝まで放牧です。ただし、子馬に優しいドーベルも、人間に対してはちょっと距離を置くのだとか。

「体を触られるのがあまり好きじゃないみたいです。ブラッシングする時も、ちょっと嫌そうな顔をしますね」

 競走馬時代は決しておとなしい気性ではありませんでした。負けん気が強かったからこそ、G1レースを5勝もできたのです。デビューした1996年から引退する1999年まで毎年、重賞レースを勝っています。

 1996年12月にG1の阪神3歳ステークスを勝ち、翌年にはオークスと秋華賞でG1を2勝。1998年、1999年にはG1のエリザベス女王杯を連覇しました。毎年、大レースを勝ったことが快挙ですが、それ以上に一線級で戦える力を4年間もキープしたことが歴史的な出来事です。

 母としては10頭を産み、育てました。産駒から重賞勝ちは出ていませんが、4番子のメジロシャレードの子(ドーベルの孫)ショウナンラグーンが青葉賞を勝ち、重賞タイトルを手にしています。ドーベルの血を引く一頭が勝った瞬間、東京競馬場は大歓声に包まれました。

 現役時代に輝かしい成績を残した、名牝メジロドーベル。今は次世代の名馬、名牝を育てる立場として日々を過ごしています。いつの日か、“保育士”ドーベルが育てた中から、活躍馬が出てきそうな気がします。

(Hint-Pot編集部)