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「諏訪」の意味は湿地か崖 日本各地にある「スワ」地名 諏訪大社との関係は?

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:日本地名研究所

諏訪大社上社本宮拝殿【写真:写真AC】
諏訪大社上社本宮拝殿【写真:写真AC】

 日本国内にある最古の神社の一つとされ、全国の諏訪神社の総本社である長野県の「諏訪大社」。「諏訪(スワ)」と付く地名はさまざまな場所で見受けられますが、その由来は一体どのようなものなのでしょうか。また、諏訪大社との関係は? 「Hint-Pot 地名探検隊」は今回、この地名に注目。40年以上も地名研究を続ける日本地名研究所(神奈川県川崎市)の協力により、各地の諏訪地名について探ります。

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日本各地にある「諏訪」地名 由来に2つの大きな地形的特徴が

「諏訪」と付く地名は全国のさまざまな場所で見受けられますが、この言葉から長野県の諏訪大社(諏訪湖の周辺に4か所の境内地を持つ神社で、全国各地にある諏訪神社の総本山)や同地で7年に1度執り行われる神事「式年造営御柱大祭(御柱祭)」を思い浮かべるという人も多いでしょう。

 そうしたイメージの強い言葉だけに、各地の「諏訪」地名は諏訪大社の神様の勧請(かんじょう。神仏の分身、分霊を他の地に迎えて祀ること)が由来となっている可能性も。ところが、全国の「諏訪」がある場所を見ていくと、どうやらその由来は“2種類の地形”に大別されているようです。

 1つ目は、「スワ」(古くは「スハ」とも書く)という言葉が、谷などのくぼんだ湿地を指すというもの。神奈川県川崎市高津区諏訪や静岡県沼津市大諏訪(おおずわ)・小諏訪(こずわ)、熊本県玉名市片諏訪(かたすわ)などが、この由来に当てはまります。

 また山口県光市小周防(こずおう)も、この由来に当てはまる可能性が。一見すると関係がないようですが、その根拠はこの地域がかつて「スハウ」と読まれたことと、小周防の町が地理的に谷底に位置するという事実。「スハウ」が転じてこの地名になったと考えられそうです。

 2つ目は、「スワ」が「岨(ソワ・ソバ)」の転訛(てんか。言葉の元々の音が訛って変わること)によるというもの。この場合の意味は山の切り立った斜面や崖です。岡山県加賀郡吉備中央町岨谷(すわだに)や鹿児島鹿屋市輝北町諏訪原(すわばら)は、この地形が地名の由来になっていると考えられます。

 では、諏訪大社の上社前宮(茅野市宮川)を除く、上社本宮(諏訪市中洲宮山)と下社春宮、下社秋宮(ともに諏訪郡下諏訪町)の地名由来はどうなのでしょうか。3社がある場所は、諏訪湖周辺のくぼんだ土地と山の切り立った斜面という2つの地理的特徴を有しており、どちらが地名由来の決定打になっているかの判断は難しいようです。

(Hint-Pot編集部)