どうぶつ
「破壊神」と呼ばれる引退馬タニノギムレット 壊した牧柵は32本! パワフルな23歳に
公開日: / 更新日:
競走馬として、父として色褪せぬ一頭が、タニノギムレットです。2002年の日本ダービーで武豊騎手を背に勝利。種牡馬としては、64年ぶりに牝馬として日本ダービーを制したウオッカを送り出しました。2020年に種牡馬を引退し、現在は「Yogiboヴェルサイユリゾートファーム」(北海道沙流郡日高町)で余生を過ごしています。23歳になった現在でも、ダービー馬としてのプライドを垣間見せるそうです。最近の様子について、同ファームの岩崎崇文さんにお話を聞きました。
◇ ◇ ◇
「人には優しく、馬には厳しい」 他の馬を蹴る素振りも
ダービー馬のプライドは消えることはありません。“ギムレット”ことタニノギムレットは、馬に対しては王様の振る舞いです。岩崎さんによると、「人には優しく、馬には厳しい」そう。
「ギムレットは人には従順です。破壊工作はしてきません。その分、他の馬に対しては威嚇します。蹴る素振りですね。馬房の前を(他の馬が)通ると、おしりを向けて蹴る雰囲気を出してきます」
しかし、常に見えている馬に対しては何もしないそうです。「自分が認識していない馬には、かなり厳しい態度で臨むクセ」があるのだとか。自分で納得さえすれば、気にしないのかもしれません。逆に納得ができないことに対しては、23歳になった今でも激しさを垣間見せるそうです。
2002年に引退 種牡馬としても快挙が
「Yogiboヴェルサイユリゾートファーム」といえば、気持ち良さそうに寝そべるアドマイヤジャパンが有名。ギムレットは、そのジャパンと人気を二分しています。さすがは元ダービー馬です。
2002年のダービー後、ヒーローインタビューで武豊騎手が「今日はギムレットで乾杯してください!」と言うと地鳴りのような歓声が上がりました。最後の直線でグングン追い上げ、ゴール板直前で差し切った姿を覚えている方も多いでしょう。ところが同年、夏場を休養に充てて秋へ向けて調整中に、怪我をしてしまい引退しました。
その後、種牡馬としてはウオッカを送り出しました。牝馬ながら2007年の日本ダービーを勝利。牝馬が勝つのは、元々出走頭数が少ないとはいえ何と64年ぶりの快挙でした。父子制覇は史上5組目。父娘制覇は当然、史上初です。
父娘ともに、ダービーを制した時は2枠3番からのスタートという偶然もありました。競走馬として、父として輝かしい実績を残して2020年に種牡馬を引退。現在では決して穏やかではないですが、余生を送っています。