海外ニュース
輸出量は世界第6位 オーストラリアが誇るバラエティ豊かなワイン その魅力とは
公開日: / 更新日:
英語圏で自然豊かなオーストラリアは、ワーキングホリデーや留学はもちろん、家族旅行やリタイア後の移住先としても日本人に人気の高い国。変化に富んだ土地や気候から造られる上質なワインも、大きな魅力の一つに挙げられます。欧州から持ち込まれた多彩な品種のブドウが栽培され、全国に散らばる産地ではワイナリーめぐりも人気のようです。現地在住ジャーナリストの守屋太郎さんが、同国で暮らすためのノウハウなどを解説するこの連載。今回から2回にわたり、「ワイン大国・オーストラリア」をテーマにお届けします。
◇ ◇ ◇
オーストラリア産ワインの魅力とは?
オーストラリア産ワインといえば、チリ産などとともに比較的安いという印象を持つ人が多いかもしれません。ヨーロッパ産と比べると、オーストラリア産のブランドイメージはそれほど高くないようです。
しかし、オーストラリア産ワインの魅力は低価格だけではありません。南東部から南部と、南西部の海洋性、地中海性の気候の土地を中心に質の高いブドウが生産され、65のワイン産地で2400か所以上のワイナリーが生産を手がけています。
夏は暑く、冬は南極海から風雨が吹き付けるというブドウ生産に適した冷涼な気候で、ヨーロッパから持ち込まれた多彩な品種が生産されています。自分の好みや料理に合わせて、世界中のバラエティ豊かなワインを楽しめるのが、最大の魅力といえるでしょう。
オーストラリア農業を支えるワイン
世界で最初にワイン造りが始まったのは、紀元前5000年頃のエジプト王朝といわれています。その長い歴史と比べると、ヨーロッパ人の開拓者がオーストラリア大陸にブドウの苗を持ち込み、ワイン生産を開始したのは18世紀後半と最近の出来事です。
しかし、近年では付加価値の高いワインを輸出するという戦略のもとで、生産量を大幅に伸ばしてきました。現在では「オージービーフ」で有名な牛肉、香川県の讃岐うどんの原料に欠かせないオーストラリア産小麦と並び、同国の農業を支える重要な輸出商品になっています。
オーストラリア産ワインの市場開拓や研究開発などを行う連邦政府系機関「ワインオーストラリア」によると、2020~2021年度(オーストラリアの会計年度は7月~翌年6月)の輸出量は6億9300万リットルと、国内販売量(4億7400万リットル)を大幅に上回っています。
また国連統計によると、オーストラリア産ワインの2021年輸出額は約16億米ドルと、フランス、イタリア、スペイン、ニュージーランド、チリに次いで世界第6位のワイン輸出国に。「ニューワールド(新世界)」と呼ばれる新興ワイン生産国の一角を占めているのです。