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“海あり県”に多い「アワ」の地名 内陸部に定着したパターンも その場合の由来とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:日本地名研究所

「アワ」の名が付く伝統芸能、「阿波踊り」(写真はイメージ)【写真:写真AC】
「アワ」の名が付く伝統芸能、「阿波踊り」(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 徳島県や千葉県の房総半島南部をかつて「あわのくに」と呼んだ他、兵庫県の淡路島など「アワ(アハ)」と付く地名は日本各地に広がっています。一見したところ海と深い関係がありそうですが、そう単純なルーツではないそうです。また、内陸部にもこの地名があります。今回の「Hint-Pot 地名探検隊」は、この「アワ(アハ)」が付く地名がテーマ。40年以上も地名研究を続けている日本地名研究所(神奈川県川崎市)の協力のもと、日本各地に広がった背景や由来について探ります。

 ◇ ◇ ◇

「あわのくに」の由来は漁場だけにあらず 「淡路」は“阿波への道”

 徳島県は「阿波国」、千葉県の房総半島南部は「安房国」と、どちらも旧国名は「あわのくに」でした。この「アワ(アハ)」には一体どういう意味があるのでしょう。

 どちらの地域も共通点として挙げられるのは、海に面していること。そのため、「魚や鳥を獲るために網を仕掛ける場所」という意味の言葉である「網場(あば)」が転じて付いた地名だと考えられます。

 ただ、「あわのくに」の地名由来はこれだけではないかもしれません。

 安房国に関しては、移動した地名の可能性もあります。中臣氏とともに古代朝廷の祭祀を担った忌部氏(いんべうじ)が京都から阿波国に左遷され、さらに安房国に移り住んだ歴史があるためです。

 また、阿波国は「古事記」に「粟の国」と記されています。今の阿波市付近とされ、粟がよく生産されたところといわれており、現在の阿波市市場町八幡に以前「粟島」という地名がありました。

 ちなみに、現在の淡路島は旧国名を「淡路国(あわじのくに)」と呼び、こちらも「アワ(アハ)」地名です。古くから交通の要衝や漁場として重要な役割を持った島でしたが、地名の由来に関してはここまで説明したいずれの理由にも当てはまりません。淡路とは「阿波路」のことで、阿波への道筋を意味しています。

内陸部にもある「アワ(アハ)」 由来は“崩れ地や崖地”

「アワ(アハ)」が漁場や沿岸部に関係する地名として説明してきましたが、山間部にもこの地名はあります。

 茨城県東茨城郡城里村には「阿波山(あわやま)」があります。この地に関しては、平安時代の漢和辞書「和名類聚抄(わみょうるいじょうしょう)」で「常陸国那珂郡阿波郷」とも記載が。ここでの「アワ(アハ)」は、崩れるという意味の言葉「暴く」が転じたと考えられ、崩れ地や崖地を指します。

 また、徳島県阿波市も実際は吉野川中流域の讃岐山脈南麓に位置し、同河川の構造谷(断層線に沿って発達した谷)に面した崖が連続しているところなのです。

「アワ(アハ)」と付く地名を崩れ地や崖地として観察してみると、違う景色が見えてくるかもしれません。

(Hint-Pot編集部)