秋は山々が色づき始め、登山をする人が増える季節です。そこで気をつけたいのが山岳遭難。米国では、ハイキング中に山道から転落し、2日間行方不明になっていた女性が列車の乗客に発見されるという奇跡の救出劇が話題になっています。

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救援物資を持って流れが速い川を渡った夫妻

　女性が救出されたのは米コロラド州シルバートン北部、同地を流れるアニマス川の岸辺でした。同州地元紙「ザ・デュランゴ・ヘラルド」の記事によると米現地時間10日朝、デュランゴ・アンド・シルバートン狭軌鉄道が運航するディーゼル列車の乗客が、アニマス川の向こう岸で救助を求めて、苦しんでいる女性を発見。乗客から報告を受けた乗務員を経由して、サンフアン郡の捜索救助隊に救助を要請しました。

　この救助に関わった災害などに対応する行政機関「コロラド州サンフアン郡緊急事態管理局（San Juan County Office of Emergency Management）」は、女性が救助隊を待つ間、心温まるサポートが行われていたことを報告しています。

　川の向こうにいる女性のもとへ駆け付けたのは、始発から45分後の列車に乗車したエンジニアのニックさんと、消防隊員のカイラさんのブリーデン夫妻でした。

　消防署で救急救命士としての訓練を受けているカイラさんは列車の緊急物資を届けるべく、夫とともに時に胸まで水深のある、流れの速い川を渡ったそう。その後、救助隊がヘリコプターで現場に駆け付けましたが、救助にはさまざまな障害があり、女性を病院まで搬送できたのは午後4時半頃でした。川を横断したカイラさんはびしょびしょの制服のまま、女性のそばで付き添っていたそうです。

夫妻の勇気ある行動に称賛の声が殺到

　記事によると、2日間行方不明だった女性は山道をハイキング中、崖の近くで写真撮影をしようとしたところ転落。足を骨折した他、脳震盪で一時的に意識も失ったと話していたそうです。その後、四つん這いで視界の開ける川岸に何とかたどり着いたそうですが、発見された時には脱水症状を起こしていたとのこと。

　同管理局のデアンヌ・ガレゴスさんは、女性が奇跡的に助かったことについて、次のように語っています。

「急な寒さの中、2日間も生き抜いた彼女はアメージングです。我々一同は完全に奇跡だと考えています。まだ電車が運行していたことに気づいていて、骨折した足を引きずりながら川岸までたどり着き、列車にシグナルを送ろうとしていたのだと思います」

　また、同管理局は公式フェイスブックで、女性の救助活動中の様子や救助に関わった人たちの写真を公開。そして、ブリーデン夫妻の勇気あるサポートを称賛しています。投稿には、「素晴らしいレスキューです。あなた方のような人々が世界をより良い場所にするのです」「このハイカーを救うために飛び込んできたすべての人に感謝します。皆さんはヒーローです」「ありがとうございます、そしておふたりに脱帽です」など感謝の言葉があふれました。

（Hint-Pot編集部）